メモ帳用ブログ

色々な雑記。

2022-06-15から1日間の記事一覧

作中の石川啄木みたいな、大義名分も行動も立派だけど動機がみみっちい、って人間を褒めることに自分は抵抗がない。大義名分と行動が一致しているなら腹の中はどうでもいい。 でも鶴見は部下たちの腹の中を操ることを武器にしていたんだから、いざ自分だけ私…

鯉登音之進も、愛する人が言ったから、という部分以外でも鶴見の大義に賛同していた。鯉登は誘拐事件の真相を知った後、「鶴見中尉殿の行く道の途中でみんなが救われるなら別にいい」という月島の言葉を肯定し、「そのために私や父が利用されていたとしても…

鯉登はなんだかんだ鶴見より父親のほうが大切な人間だろう。父親は不器用なだけで実はずっと自分を愛してくれていた。だからもし父親が自分の意思で中央への反乱に加わっていなければ、鯉登音之進はそもそも鶴見の下で汚れ仕事をしていないと思う。いくら登…

鯉登音之進は少年期ずっと自分のことを父親からすら必要とされない落ちこぼれだと思って生きてきた。そのせいで自分が好意を持った相手から必要とされたいという欲求が強い人間なんだと思う。だから『甘い嘘』では混乱した末にとっさにあの言葉が出てきた。 …

鯉登平二が鶴見への協力を決めた理由で一番大きいのは、長男の鯉登平之丞が黄海海戦で無惨に戦死した点にあるのではないかと思う。平之丞を戦死させた日清戦争、それが切り開いた日本が欧米列強に並び帝国を拡大する道。その成果が中央から軽んじられかねな…