メモ帳用ブログ

色々な雑記。

鯉登平二が鶴見への協力を決めた理由で一番大きいのは、長男の鯉登平之丞が黄海海戦で無惨に戦死した点にあるのではないかと思う。平之丞を戦死させた日清戦争、それが切り開いた日本が欧米列強に並び帝国を拡大する道。その成果が中央から軽んじられかねない現状が鯉登平二には耐え難かった。
長男を兵士として死なせてしまったため、長男を裏切り踏みにじるようで長年次男に対して情のある親子として接することができなかった。それでも次男に対して血の通った親として接することが次男のためになり、きっと長男も不義理を許してくれることを鯉登平二は誘拐事件を通じて自分に納得させられるようになった。
ただ次男に情を見せる分、指揮官としての自分はなおさらに責務を背負わなくてはならないとという思いはあっただろう。中央に反乱を企て、その作戦に他人の子供を参加させて場合によっては死なせるのだから、自分は何が起きようと逃げてはいけない。