メモ帳用ブログ

色々な雑記。

主人公と同格のキャラを出しても主人公の存在感が食われないための手段としてはキャラ属性を反対にするのが一般的。少年誌以外では主人公と相棒を異性にすることも多い。恋愛をやるかはさておき、とりあえず男と女ならポジションはかぶらない。

男女のコンビ(後にカップル)で自分にとって印象深いのはプラネテスプラネテスは宇宙開発が進んだ近未来が舞台で、スペースデブリを回収する民間企業に勤務する星野八郎太が主人公。アニメ版ではまず入社3年目の主人公でなく新入社員の田名部愛の視点から始まってて、田名部愛はアニメの全体を通してワトソン的な視聴者視点を担当するポジション。だけどこの田名部愛は原作の漫画では序盤の終わりに新入社員ながら思想面での主人公の女ライバル的に登場するキャラで、ぶっ飛んだ個性がある。それがアニメ版では時々暴走するけど元気で明るい後輩キャラくらいに弱められている。これ以外にもアニメ版プラネテスは舞台と主人公とテーマ(と女船長のフィー)以外は全部改変してると言っても過言でないくらい改変してるんだけど、これはこれでよく出来てて、原作ファンからさえかなり賛寄りな賛否両論の評判だった。

話は変わるけど、原作改変で悪い意味で話題になる最近のアニメはプラネテスみたいなのを目指して見事失敗したんだろうと感じることが多い。原作の理念的なテーマ性をできるだけキャラのやり取りに落とし込んだり、連載中の原作では中盤の山場の話を最終回にするために前半に独自の単独エピソードを増やしたり、オリキャラを増やしたり。

こうしてみるともっともな改変だし、プラネテスは実際にちゃんと機能してた。でも上手くいったのはスタッフに流れを作り直せるだけの実力があったからだろう。多くのアニメの改変では、原作の流れを読みきれずにねじ込むせいなのか、部分的には改良に見えても全体の流れをよりおかしくしている。失敗に終わったアニメでも大きく改変したスタッフは自分の実力を信じていたはず。でもどんなに頑張った工夫でもうまく機能しなければただの骨折りのための骨折りという自己満足だ。結果がすべてではないにしろ、自己満足どまりの頑張りが認めてもらえるのは趣味の世界までだ。

漫画は漫画、小説は小説と、それぞれの媒体で完成されてる。映像化の素材として漫画や小説が存在しているのではない。だからこそ他媒体化の時には改変しなくてはいけない部分も多いんだろう。それでも他媒体化は原作の評判と良さあってのものなんだから、やむを得ない理由で原作の良さを消す時にはそれを上回る良さを提供してほしい。