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色々な雑記。

日本の民法における自力救済の議論では、ドイツの民法を参考にしているという。ドイツ法学では、自力救済の国家による禁止とその代償としての国家による安全の保証という考え方がある。また民事訴訟を自力救済の国家による禁止の代償として位置づける学説がある。
中世ヨーロッパでは広く自力救済が行われており、ドイツでも血讐やフェーデ(権利侵害に対する自力救済のための私闘)が盛んだった。現行法にも中世からの段階的な進歩の痕跡がある。
こうした主に私人同士の権利侵害を解決するための法律と、刑法は必ずしも同一の理念に基づいていない。刑罰の本質を問う議論には大きく分けて応報刑論の立場と目的刑論の立場がある。目的刑論では、刑罰は犯罪者の教育や犯罪抑止などの将来の目的のためにあるとする。応報刑論では、刑罰は犯罪者が過去に犯した罪を償うためにあるとする。現代的な応報刑論(旧派後期)によれば、刑罰は被害者の受けた権利侵害を回復するためにあるのではなく、不正によって否定された法の実在性を回復するためにあるとされる。現在、刑法は国と私人の関係を規定する公法に分類されている。刑法学上でいう応報(retribution)も公的なもののみを指し、私的な復讐とは明確に区別される。日本では応報刑論を基礎としつつ目的刑論的な意義を持たせる考え方が主流だ。