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ヒトにもっとも近縁な動物である哺乳綱霊長目ヒト科チンパンジー属のチンパンジーとボノボはオスが群れに残りメスが群れを出るという繁殖戦略を持つ。哺乳綱霊長目ヒト科ヒト属の人類も同様の繁殖戦略を持っていたと考えられるが、確たる証拠はない。現存する狩猟採集民族の多くがやや父系的な双系社会であることは知られているが、そこから有史以前の社会を推量するのには限界がある。
チンパンジーは明確にオス優位の社会だ。一方で乱婚であり母親しか子育てをしないため父権は存在しない。権力の継承も存在しない。
ボノボも乱婚であり母親しか子育てをしない。だがオスのメスに対する優位性は低く、メスも権力を持っている。第一位のメスの息子が第一位のオスになる場合が多い。ただし若いメスは群れを移るため、母親から娘への継承は存在せず、権力の継承は母親から息子への一代限りである。