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こうした移動的社会集団をバンドといい、成員は数十人から100人前後である。バンドは一般に血縁集団であることが多いが、バンド内部の家族間を結び付ける規則性は明確でない。しかし一般的に父系的傾向が強いようにみられるのは、夫方居住婚、バンド外婚の結果からもたらされたものである。このように、バンド間には婚姻を通じて親族関係が結ばれているが、バンドを超えたより大きな集団や統合機構は存在しない。
　経済・社会生活の単位は一般に核家族であり、家族内およびその集合体であるバンドのなかでは、性と年齢に基づく分業や協同が行われるが、それ以上の特殊な分業化や専門化はみられない。

人間最古の社会は狩猟採集民族の双系社会とされる。子育ては群れを基盤に主につがいによって担われたと考えられる。
この点に限るなら、乱婚でメスだけが子育てするチンパンジーよりも、群れを作りつがいで子育てするペンギンのほうがイメージが近いかもしれない。もちろんペンギンの子育てと人間の子育てはかなり異なる。人間の子育ての特徴は同じ家や群れの血縁者が子育てに協力する点にある。また、男女で分業しつつ家計をともにする点も特徴的である。ペンギンは血縁者からの直接的な協力を受けず、ほぼ同じ仕事をオスメス交代で行う。