メモ帳用ブログ

色々な雑記。

疫学の意義。

一方、陸軍軍医首脳 森林太郎(鴎外)は、白米主体である和食の優位性を実験研究によって証明し、高木の説を"統計にもとづく学理なき説"と非難した。陸軍では高木の学説を採用することなく白米食を続け、その後も多くの脚気患者を発生させることになる。


疫学と交絡(疑似相関)の問題。

余談ですが、このような因果関係と相関関係の交錯は、「疑似相関」とも呼ばれており、現代に生きるわれわれにも無縁ではありません。疑似相関とは、似通った結果を見せる独立したデータ間に、あたかも因果関係があるかのように錯覚してしまう現象です。一例を挙げると、

・アイスクリームの売り上げが多い年ほど、溺死者が増える
アメリカ人1人あたりのモッツァレラチーズの消費量が増えると、アメリカの土木工学博士号授与数も増える

といったデータがありえます。前者では、「暑さ」という共通の要因があるだけで、アイスクリームの売り上げと溺死者数の間に直接の因果関係はありません。また後者は、単なる偶然にすぎません。にもかかわらず、「相関している」データと言われると、人間はそこに因果関係を見出そうとしてしまいます。

データから相関関係を見出すのは案外簡単ですが、因果関係を導き出すという作業は手間や時間が圧倒的にかかります。そのため、往々にして人はこの種の交錯に陥るのです。