メモ帳用ブログ

色々な雑記。

下で引用した庵野監督のネット批判は妥当な内容だ。
インタビュー当時からさらにネットが発展し、ほとんどの人間の生活に欠かせなくなった現在も、「産経新聞東スポに書いてあることを同じように受け止めてしまう人にはつらいかな、と思いますね」のような状況は変わっていない。
ウェブでは大学学部レベルの基礎から最新の学説にまでアクセスできる(アーカイブ化が進む以前の論文には乏しい)一方で、ゴシップ誌にすら載れないレベルの放言が、同じようなプラットフォームで同列に並べられている。
ウェブの肯定的な面を強調し、ハイエクの自生的秩序や市場制度の進化との類似性を挙げている意見は色々な場で見かける。ハイエクは、不完全な知識しか持たない人間が市場を介して取引することで知識の分業がなされ、設計主義以上の成果がもたらされると説いた。確かにウェブの自生的なネットワークがそのような有用な働きをする場面は多々ある。しかし同様にデマや疑似科学オルタナティブ・ファクトの温床にもなる。ウェブでは信頼できない情報が信頼できないという理由で削除されて淘汰されることは滅多にない。ウェブで淘汰と呼びうるものはアクセスの多寡だろうが、それを決めるのは信頼性よりもむしろコンテンツとしての面白さだ。東スポ的な情報が拡散し、産経新聞的な情報は狭い範囲に留まる。

庵野  淘汰されないってことですよね。それが問題なんです。雑誌などに載せられる発言は選抜がされているんですけれども、頭のいい発言ばっかりだと他の人が書いてくれなくなるんで、頭のいい記事とそうでない記事をバランスよく織り交ぜてやるんですね。

人研  匿名だと言いたいこと好き放題言って終わりっていうふうになりますよね。

庵野  そうですね。責任取らないですよね。ネットに関しては情報の真偽というのがわからないですよね。ハンドルネームで書いている人とか見ると、ほんとかよ、と。情報をただの情報としてだけで受け取る人ばかりならそれでもいいんですけれども、産経新聞東スポに書いてあることを同じように受け止めてしまう人にはつらいかな、と思いますね。情報の選別ができないと。人が多々いる中、選別されない情報が垂れ流されているというのはきついな、とは思いますね。よく考えるとそういうサイトに群がる人はやっぱ同レベルの人だからね、頭のいい人はそういうところ読まないよ(笑)サイトにはサイトのカラーがあって、全世界に発信していてもそれを読む人は限られていて、閉じてるっていうのが実感としてわかったんで、そのへんはもう言わないです。言っても仕方ないというか、言う必要がもうないかな。サイトが出てきてはそれを荒らすやつが出てきて、みんなで攻撃して、「みんな仲良くしようよー」とか言って、便所の落書きですよね。こんなことNEW TYPEで言ったら怒られますけどね(笑)便所の落書きってそんな感じじゃないですか。「こいつはホモだ」って書いてあって、それに「お前がホモだ」って矢印つきで書いてあったり(笑)