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自分だけが勝手に北極の氷論法と呼んでいる論法がある。「地球温暖化が人類の害になると主張する人間は、温暖化で北極の氷が溶けると海面が上昇すると言っているが、実は北極の氷が溶けても海面は上昇しない、だから地球温暖化の害を訴える人間の主張はみんなデタラメだ」のような論法だ。こういう詭弁は一般的にはチェリー・ピッキングというらしい。もしくは燻製ニシンの虚偽?
まず、地球温暖化で北極の氷が溶けても海面は上昇しないという点は本当だ。理科で習うとおり、特殊な環境を除いて、氷は水より密度が低い。だから水に浮く。浮いている氷が押しのけた分の水の質量と、浮いている氷全体(水面下と水面上を合わせた分)の質量が釣り合う。北極点周辺の巨大海氷の下には陸地が無く(北極圏には陸地のある場所もある)、多くの人がイメージする北極の氷はすべて海水に浮いていると言える。だから北極の氷が溶けるだけなら海面上昇は起きない。
しかし北極の氷が溶けるほどの地球温暖化が起きたら、北極圏の陸地の氷や南極の氷も溶けるのは確実だ。南極は南極大陸という陸地の上に氷雪が積もって形成されている。北極のように水に浮いているのではない。陸地の氷が溶ければ海面上昇の原因の1つになる。
また、地球温暖化による海面上昇の主な要因は極地の氷の融解ではない。それよりも水温上昇による海水の膨張が与える影響のほうがはるかに大きい。
確かに、北極の氷が溶けても海面は上昇しない。だが地球温暖化の危機を訴えるまとな意見や書籍などで北極の氷の融解と海面上昇を繋げるような誤った主張が行われている物を見たことがない。いわゆる藁人形論法の藁人形なのではないかと思う。もしかしたらごく初期にはそうした混同が専門家の間でもあったのかもしれないし、もしかしたら未だに情報のアップデートができないまま地球温暖化防止を訴える者も存在するのかもしれない。地球平面説を信じる先進国の人間だっていなくはない。しかしそうした人間が存在するとしても、ごく一部の人間が間違った主張をしようが地球が温暖化すれば海面上昇が起きると考えるのが科学的に妥当だ。地球温暖化の原因や影響については未解明な部分が多いが、現在のところ地球温暖化が人類の生活の脅威となりつつあることはほぼ間違いないとされる。
もし地球温暖化に対して懐疑論を唱えたいのなら、最低限、2009年に纏められた以下の主張全てに科学的な反論を行う必要がある。
地球温暖化懐疑論批判