メモ帳用ブログ

色々な雑記。

プーチン大統領は、ネットでよく見る相手に非があるまたは非がある人間と共通する属性を見つけ出せる相手なら何をしてもいいと思っている人間からすればヒーローなんだろうと思う。
日本だって民族や文化に関わる差別問題が少なくないように、そりゃウクライナでもウクライナ系住民とロシア系住民の軋轢は無かった訳ではない。
特にロシアがクリミア半島を電撃的に併合した2014年以降は、親欧米派と親露派が衝突して少なくない死者が出てしまった事件も起きている。それでもウクライナ政府がロシア系住民を直々に弾圧したとか、ウクライナ政府がロシア系住民に対する差別を助長したというような事実は存在しない。政治腐敗が深刻な国なので、親欧米派に偏った判断をした、あるいは親露派に偏った判断をした公務員がいたことは明らかになったが、国際機関の勧告に従って健全化が目指されていた。東部の紛争地帯でも、軍関係者が親露派住民へ人権侵害を行った事例はあったが、こちらも改善が図られていた。一方で親露派分離主義勢力の支配地では人権侵害が確認されたにも拘らず、国際機関の介入は遮断され、ろくな改善が図られなかった。また、ミンスク合意の後はウクライナ政府が分離主義勢力に対する攻勢を一方的にエスカレートさせたこともない。比較的議論になるのはウクライナ軍がドローンを導入したことの是非だが、ドローンは強力な兵器であっても、ウクライナがドローンで過激な攻撃を行った事実はない。ウクライナ軍に死傷者が出たために榴弾砲を攻撃した程度で、あくまで反撃に留まるものだった。民間人の被害が出ていないのは勿論、分離主義勢力の死傷者も出ていなかった。ロシアが分離主義勢力の占領地を国家承認しただけならまだどっちもどっち論に持ち込めた見込みはなくもないが、国際的な常識からすると間違ってもウクライナ全土への侵攻が正当化ができるような状況ではなかった。
それでも現在の国際秩序を敵視するプーチン大統領からすれば、正しいのは自分で間違っているのはウクライナや西側諸国ということになるのだろう。確かに既存の先進国が築いた国際秩序に全く問題が無いとは言えず、それがロシアに賛同する国や非難しない国が少なからず出る一因になっている。もしプーチン大統領の被害妄想通りに西側諸国が特権階級に胡座をかいてそれ以外の国々への搾取と弾圧を続けており、謀略でウクライナを切り取ろうとしたのなら、ロシアの言い分は説得力を持った。だが現在の西側諸国は市場拡大のためにも、国際秩序を安定させて経済政策に力を入れるためにも、新興国発展途上国の成長を支援して歓迎している。ウクライナがかつての仲間であるロシアから距離を取り欧米に接近したのも経済面などでのメリットが大きいと判断したためだ。特にロシアはクリミア併合後でさえ多くの国から宥和的な政策を取られてきた。ロシアは宥和政策につけあがる余地がありこそすれ、被害者ぶれる余地はなかったはずだ。