メモ帳用ブログ

色々な雑記。

椿芽・環姉妹は東北の生まれで環は九州に移住した、環は意識して九州の方言を身につけた、東北に近づくにつれて徐々に方言も東北のものに戻っていっている、というのは新海監督がティーチインだけでなく多くのインタビューでも語っている大切なポイントだ。方言の変化はさり気なくて最初から意識していないと気付きにくいが、知っていて見ると深みが増す。


鈴芽が標準語なのは環と反対にどこかで九州を自分の本当にいるべき場所だと思えていないからだという。この点はティーチインでは語っていたし、確かどれかのインタビューでも語っていたはずだ。
環本では椿芽・環姉妹が若い頃に両親を亡くしていることや、環が椿芽と少し距離を置きたくなり18歳前後から九州に住んでいることが明かされた。また年末の新海監督のスペースによれば、環は海洋生物が好きで水産系の学部に進学したのだそうだ。環のLINEアイコンはアンコウで、女性スタッフがデザインしたものであるという。
環が漁協に就職しているのも本人の夢を見事叶えたということだろう。
環はこの作品のメインキャラクターの中では、既に自分の夢と、仕事と、暮らしていく場所を選び取ったポジションにあたる。家だって、姉の遺産の助けもあるだろうが、自分で購入した。だがそんな環にも悩みはあり、真の意味で完成した大人などいない、というのが作品全体のトーンの基底となっている。
環本では環が社交的で明るい姉の椿芽に対して、嫉妬の意味も含めて「眩しさ」を感じていたのが個人的に注目ポイント。環だって映画本編を見る限りでは根明な方に見えるが、いわゆるキョロ充的に意識してそう努めている部分はあるのだろうし、社交的で眩しかった椿芽や、なんだかんだ根っこの明るさがくじけることなく素直で弾けるような少女に育った鈴芽を羨んでしまう気持ちはわからなくもない。鈴芽がそう育ったのは環のおかげであり、環もその点に関しては喜びのほうが大きい、というのがまた複雑だ。