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環本で環は


引き取ったばかりの鈴芽が帰ってきても「ただいま」を言わないことや自分が家に帰っても「おかえり」と言ってくれないことを辛く感じていた。当時の鈴芽はまだ東北の実家に帰りたがっており、環のことも単なる血縁者以上の家族とは思えていなかったからだ。だが2人は次第に家族となり、鈴芽は「ただいま」「おかえり」を言うようになる。
しかし新海監督曰く、鈴芽が標準語なのは現在の家を本当に自分がいるべき場所だと感じられていなかったからだという。 同じ東北出身ながら宮崎弁を意識的に身につけた環とは正反対の態度だ。そんな鈴芽が宮崎の家で言っていた「ただいま」と「おかえり」はどこか根のないものだったはずだ。
環との関係に問題があるとか、宮崎という土地に問題があるとかではなく、東北で亡くした母親との関係に区切りがつけられなかったためにそうなってしまったのだろう。鈴芽は母親と再会できたはずの夢を見てはその度に泣いていた。
だが鈴芽はダイジンを追って草太と旅をし、草太を取り戻すために芹澤・環・ダイジン、それにサダイジンと旅をするうち、自分が母親とは再会できていなかったことを図らずも理解してしまう。草太を取り戻すのと同時に、自分がもう二度と母親とは会えないことを受け入れた。母親の死をようやく納得できた。
そして草太と鈴芽は一旦別れるものの、冬の宮崎で再会する。その際鈴芽は「おかえり」と言った。それは鈴芽にとって宮崎が本当の故郷になったからこその、本心からの「おかえり」だったはずだ。
もしかしたら鈴芽は将来宮崎を離れてそこが第三の故郷となるのかもしれないが、それは、また別のお話だ。