日常もの

九十九十九 (講談社文庫)

 清涼院流水先生のJDCシリーズを読む前にトリビュート小説の『九十九十九』を読んでしまった。面白かったので後悔してない。

『九十九十九』は大雑把にいうと、清涼院流水という作家が僕（=主人公）のことを勝手にモデルにして物語を書いているらしいぞ？って内容だから本家を読んでなくてもほとんど困らない。元ネタを知ってるとクスっとできる部分なんだろうなって箇所は多いから後でJDCシリーズも読んでおこう。元ネタを愛しているがゆえのメタで辛辣なツッコミは舞城節。

最初は怒涛のエロ・グロ・ナンセンスやら見立て殺人やらメタに笑いつつも辟易とするんだけど（特に男色）、慣れてくるとこれはこれで極上の日常ものでは？みたいな気持ちになってくる。面倒くさい構成だけど解説パートが完備されている親切設計。最終話の最終シーンは本当に切なくて心地いい。『九十九十九』はやっぱり極上の日常ものだと思う。