メモ帳用ブログ

色々な雑記。

「勇作だけが 俺を愛してくれたから」のコマで後ろの勇作が指でバッテンをしているように見えるから実は勇作は尾形を愛してなくて尾形もそれをわかっているんじゃないかって説をネットで見たことがあるけど、自分は違うと思う。ただ、勇作の指の意味はバッテンだけど、尾形を愛したのは勇作だけじゃないって意味の否定ならあり得る。勇作の幻覚は最後に「兄様は祝福されて生まれた子供です」、つまり尾形は愛されて生まれてきたと告げた。

尾形は自分が親から愛されたことがあってほしい、親から祝福されて生まれてきたのであってほしい、という思いをずっと持っていた。だが親に愛されていたと感じることは全くできなかった。そのため、その願いを幻覚というかたちでも自分で肯定することはできず、唯一愛してくれたと感じることのできた勇作の幻覚に肯定してもらったのかもしれない。生前の勇作が言った尾形は罪悪感のない人間ではないという言葉は勇作の殺害によって証明されたが、尾形は祝福されて生まれてきたという言葉はどうだろう。それを確かめられる材料はない。しかし尾形は前者だけでなく後者も正しいと感じたからこそ死を選んだのだろうし、その死に顔は安らかだった。