メモ帳用ブログ

色々な雑記。

当たり前だけど、指揮官がクーデターの命令を出し、その命令に従った兵士は、クーデターが失敗すれば処分を受ける。兵士の従うべきはあくまで指揮官を通じて示される軍や国の指令であって、指揮官個人ではない。
鶴見勢力のやったことがもしすべて明るみになれば、鶴見の部下である陸軍の兵士たちも、鯉登平二も、鯉登平二の部下である海軍の兵士たちも、死刑は免れない。網走監獄襲撃の時点でどう考えても死刑だ。海軍の兵士たちも道東で網走監獄襲撃を行うという計画を知っていながら参加した。鶴見は水兵の前でも駆逐艦は飛蝗駆除のために道東へ赴き囚人反乱の情報を知って鎮圧に参加したことにすればいいと平然と語っている。水兵たちが何も知らずに監獄へ艦砲射撃を行っていたということはありえない。
一連のクーデター計画は現実的に考えれば日本の軍が根底からひっくり返る大騒動になるだろうが、そもそもが現実的に考えれば大騒動必至の経緯をたどり続けた果てにここまで来ている。その流れで考えれば鶴見勢力の行いのほとんどはこれまでのように誤魔化され続けるのだろう。
鶴見は中央長州閥の奥田中将からアイヌの金塊捜索の指令を受けていた。鶴見勢力の兵士たちはあくまで中央の指令通りに金塊を確保しようとしていただけで、クーデター計画など知らなかったと言い張ることは不可能ではない。網走監獄襲撃の隠蔽が成功したのも、前半は中央は地方にも鶴見にも関心が薄いということで違和感がなかったし、中央が鶴見を監視していたことが明らかになった後半でも、金塊のために少々の不自然さには目をつぶってくれたからだと解釈できる。函館での戦いも、もし金塊か権利書と引き換えだったらロシア人テロリストの掃討作戦として処理してもらえたはずだ。
問題は、何も得られなかったために、中央が函館での戦いをどう処理するかが不透明で、網走監獄の件すら蒸し返してくる恐れがあることだ。ただ海軍は海軍少将が陸軍中尉の口車に乗ってクーデター計画に参加していたことは知らなかったはずだ。ロシア人テロリストの掃討にいち早く駆けつけて戦死したことになるだろう。また、陸軍は陸軍で金塊や権利書を巡る醜聞が明らかになっては困るので、鶴見勢力に下手に注目が集まる事態は避けたいだろう。早々に収拾を図るなら、金塊捜索命令と密接に関係する鶴見勢力のクーデター計画には触れないはずだ。まして、金塊捜索のために陸軍中尉が海軍少将に駆逐艦を何度も不適切に運用させた挙げ句ロシア人のパルチザンとの私闘で戦死させることになった、なんて大醜聞を陸軍が海軍に伝えたりはしないだろう。