メモ帳用ブログ

色々な雑記。

中央は鶴見を金塊を手に入れるまで泳がせた後で菊田に消させるつもりだった。鶴見の部下たちは破滅しかないと菊田は有古に言った。ただし中央は鶴見が秘密裏に金塊へたどり着いたところで人知れず消すような筋書きを期待していたはずだし、鶴見の金塊を資金源にした大規模なクーデター計画のすべてを公にしてしまうつもりもなかっただろう。せいぜいが、待遇に不満を持つ小隊が蜂起を企んだが未然に防がれた、関係者は全員逮捕された、程度の事件として処理する予定だったはずだ。当然、陸軍は海軍にも金塊捜索について知られたくはない。駆逐艦という軍事力を持つ鯉登平二には、鯉登音之進誘拐事件の真相を明かして、あなたたち親子は騙されていたのだからクーデターから手を引くなら2人の罪は問わない、すでに逮捕している鶴見の部下たちにも寛大な処置を約束する、というような交渉をするつもりだったことも考えられる。
しかし鶴見が金塊を手に入れる前に函館で隠蔽しようのない大事件が起き、あまつさえ駆逐艦は沈んでしまった。菊田は内通者であることに気付かれて殺害されていた。皮肉だが、この一件で注目が集まったことでかえって鶴見勢力の残党を安易に処分しにくくなった可能性はある。おそらく鯉登音之進は親子そろってロシアのテロリストから北海道を守ったという虚飾と、疑惑の眼差しを背負いながら出世することになる。