メモ帳用ブログ

色々な雑記。

新海監督の近年の三部作では犠牲を出さずに誰かを助けることはできないというシビアな視点が共通している。
君の名は。』では主人公・瀧とヒロイン・三葉は糸守町を救うために2人の積み重ねた交流や記憶を犠牲にした。だが過去や記憶がなかったことになっても、2人は再会し、一から新たな関係を始めた。
『天気の子』では自らの身を犠牲にして東京を救おうとするヒロイン・陽菜を主人公・帆高が止め、東京を自分たちで救うことを諦める。陽菜を救うために東京を犠牲にしたとは本来言えないはずだ。雨が止まらないことによる間接的な犠牲者は出ているだろうが、あの世界の東京の人間は雨が止まらないなりに新たな生き方を模索して生活を続けているようだ。それでも帆高は自分が世界を変えてしまったことを直視し、その上で「僕たちは大丈夫だ」と、生きていくことを引き受けた。
『すずめの戸締まり』では、追い詰められた鈴芽は東京の人々を災害から守るために自分の手で草太を要石として使ってしまう。だがなんとしても草太を助けようと思い直し、旅の途中で自らが要石になることを覚悟するが、当初要石となっていた神が鈴芽への行為から再び要石の役割を引き受けてくれた。しかしその神は自分の保護者であるだけでなく、自分の子でもあり、もうひとりの自分でもあるような存在だった。