メモ帳用ブログ

色々な雑記。

勘違い発覚覚悟で芹澤本が出る前に幻覚を書いておく。


羊朗は人間を閉じ師と只人に二分して考えていて、その上で閉じ師は只人を守るのが使命だと考えていそう。
草太は基本的に閉じ師は人々の生活に欠かせない大事な仕事だけど、インフラ関係者とか、医療従事者とか、消防士とかと同じような多数の仕事のうちの1つだと考えていそう。命がけなのもあくまでそういう業務内容だからで、閉じ師に限ったことじゃない。鈴芽を最初追い払おうとしたのも閉じ師と只人が違う存在だからではなく自分が玄人なのに鈴芽は素人だという経験の違いを意識してのことだ。自由に動ける大学生である現在は、諸々の事情を考慮して、自分の選択として閉じ師と教師の両方をやろうと考えている。「閉じ師だけど教師もやりたい」という閉じ師にプライオリティのある認識ではなく、閉じ師と教師が等価である認識だ。
ただ、閉じ師の素質が隔世遺伝したために親から引き離されたことや、その際には選択の自由を与えられなかったことには多少なりとも思うところはあった。草太が教師を目指す理由には、只人であり教師である父親への憧れや、教育者としての祖父のやり方に対する反抗心があるという。また、他人に理解されない秘密を抱える者同士のコミュニティと緩やかに繋がっていて、その気になればいくらでも只人とは別格の存在だと自認できてしまう立場にいることに気付いた瞬間もあったはずだ。そういった自らの特異性へ意識が向きそうになった時、草太は自分が無数にある人間の分類のうちの1種なのではなく、人間という輪からはぐれてしまった存在であるかのような寂しさを感じたかもしれない。
そしてたぶん芹澤は、草太にとって自分はあくまで人間の1種だと確信を持たせてくれる存在だった。芹澤は草太の秘密を無闇に追求しない。だから閉じ師としての秘密だって、人間がごく当たり前に抱える数ある秘密の1つだと思えた。芹澤は草太が自分を雑に扱うことには怒り、姿勢を改めるようには言っただろうし、その一因が家業にあることはわかっている。だが家業をやめろとは言わなかったはずだ。大切な自分の夢のうちの半分を共有して、もう半分も否定せずにいてくれた。だから閉じ師は只人から隔絶した存在ではなく多数の職業のうちの1つに過ぎず、自分は人間からはぐれた存在ではなく、ただのこういう種類の人間なんだと安心できた。