メモ帳用ブログ

色々な雑記。

いまさらだけどさらざんまい第九皿。

人間ドラマだ(幾原監督比)。眩しすぎる憧れや抽象描写は控えめだ(幾原監督比)。だってメインキャラはほとんど幾原監督と同じ男だから、的なさらざんまい。第九皿はヤクザで暴力で兄弟の絆。

前回の燕太が撃たれた!な引きから続くシーンの直後に、冷凍ケッピバラバラ事件で深刻な生死の話はやらないかなと思わせて、シリアスな燕太の姉と一稀の会話でしんみりさせて、いきなりのカッパ燕太登場!と前半で既に感情のジェットコースター展開。男主体のアニメだけど、燕太の姉みたいな地に足がついていて可愛い女性キャラもいるのが自分には嬉しい。ノベライズだと早くから出ていた燕太の過去、帰国子女で浮いてしまったところに一稀に声をかけてもらったという出会いが、アニメではこのタイミングで明かされるのか。ドラマチック。燕太が今まで妄想の中で一稀に言わせたり言ったりしてた「関係大アリだ!」ってセリフは出会ったときに言ってもらった言葉だったのか。今の一稀にも言ってもらえて、燕太の思いは十分報われたんじゃないだろうか。一稀は皿を取りに家に帰って、春河と燕太との繋がりを再確認して、悠との幼い頃の繋がりを思い出してと、まあるい円の真ん中にいる主人公らしさがますます高まる。一稀と春河の関係が前半の山場だっただけに、2人の兄弟の絆は染みる。

悠は兄と裏社会へもう戻れない先まで進んでしまう。久慈兄の「戻るなら今だぞ」ってセリフは遠ざけたい警告なのか、一緒に行くのをわかっていて言う確認なのか。久慈兄の弟分のマサはキャラも末路もいかにもな感じだけどベタで好きだ。これはいいやつだから殺すしかないタイプの人間。人懐っこくて口が軽い。悠のハッパ密売だけならともかく、10歳のときに敵の頭を殺した件を知っているのはいろいろまずい。悠からしても、兄との2人だけの秘密だと思っていた過去を兄が他人に漏らしてしまっている上、それを兄が利用してのし上がったような言い草を当の兄が否定しなかったのはショックだろう。会話の流れとしては仕方ないシーンだったけど。

進んだ先は敵の残党との銃撃戦。やっぱりベタだけど好きだな。久慈兄はもちろん悠も敵を撃ち殺してしまう。悠の思い切りの良さと手際の良さに辛くなる。普通なら美点なことだけど、なまじ早熟なばかりにこれほど後戻りのできないところまで悠は追い詰められてしまったわけで。 悠を撃ったと思わせる演出をして、実は久慈兄は悠を敵の銃弾から庇っていたという展開も、ベタベタだけど大好き。死別のシーンでカヴァレリア・ルスティカーナの間奏曲がかかるのはゴッド・ファーザーIIIのオマージュかな。かなり長めの回想シーン。ここで悠の物語が終わるならもっと短くして余韻を持たせても良かったかもしれないけど、むしろ悠はここから歩き出さなきゃいけないわけだから、どう進むにてもその方向を決める背景をしっかり描いてくれて良かった。悠が自分の努力が無意味なものだったと悟って、バッグいっぱいの紙幣をぶちまけてしまうのは心が痛い。4年前と一部意識が混濁したのか、僅かな紙幣を悠に渡そうとする久慈兄の行動の無意味さも切ない。久慈兄は、いつからかははっきりしないけど少なくとも4年前の事件からは、悠が自分よりだいぶ要領がいいことを気にしてたようでもある。心がささくれる部分があり、無理をしてでも強い兄として振る舞いたい部分もあり。

警官のレオとマブもいよいよ大詰め。BLで寝取られと見せかけて、敵は自分自身の欲望の鏡か。テンポが早すぎで深刻だろうシーンがギャグめいて見えたのは逆に自分にはありがたかったかも。2人の思い出の味だったらしい人形焼をマブがまだつくれるようになったのも、レオにとっては2人はカップルを歌って踊るくらいウッキウキになることだったんだろう。きっと。