メモ帳用ブログ

色々な雑記。

ネットではよく「読者の予想を裏切り期待を裏切らない」という言葉を見る。でも学問的には読者に予想外の展開が起こった時、どんな場合でも裏切るのは期待だということになっている。読者は作品に対して必ず次に起きて欲しい展開なり結末なりを期待しながら読み進め、実際の展開に少なからず裏切られてすり合わせをして、また新しい期待を持つ。それが読書体験。だからネットで言う「予想を裏切る」はいい期待の裏切り方をする、「期待を裏切る」は悪い期待の裏切り方をする、の言葉遊び。

受容理論(じゅようりろん)とは - コトバンク

百科事典マイペディア - 受容理論の用語解説 - 1960年代末に生まれた文学理論。英語reception theoryの訳。ドイツ語圏では受容美学とも称される。ドイツのコンスタンツ大学でH.R.ヤウス,W.イーザーらによって理論化・実践された。読者は〈期待の地平〉を持って作品に接し,読みの過程でこ…

受容美学(じゅようびがく)とは - コトバンク

日本大百科全書(ニッポニカ) - 受容美学の用語解説 - 現代ドイツの文学史の方法概念。ドイツの中世フランス文学研究者ハンス・ロベルト・ヤウスHans Robert Jauss(1921―97)が、1967年4月13日、新設のコンスタンツ大学で行った教授就任講演『挑発としての文学史』のなかで初めて構想を示して以後…

では何が悪い裏切りで何が良い裏切りになるのかは、この理論によると、個人・流行・文化によって変わっていくものらしい。固定化された正解はない。

期待に関してよく言われてることからすると、読み進める気が無くなるほどひどくは裏切らない、裏切りを重ねすぎて次の期待を持たれなくなることは避ける、一度裏切ったらそのショックから生まれる新たな期待には応えておく、あたりを守るのが無難そう。でもベテラン作家でも悪い期待の裏切り方をしたり逆にあまりにも波乱が無さすぎて退屈だったり、評判の悪い作品を作ってしまうのは珍しくないから、それだけちょうどいい具合に合わせるのは難しいんだろう。