語りたがり

早口オタクであるところの自分には、自分が興味のある分野を早口で語ったり早口で語ってもらったりすることを道徳的だと主張し、自分が興味のない分野を早口で語られることを道徳的でないと主張したい部分が確実にある。
興味の対象につぎ込めるエネルギーも時間も有限だ。特に自分のような賢い振り分けのできない人間だと切実な問題になる。だから自分がやることは道徳的で、やらないことは道徳的でないと思い込めば、世界が単純化できる。
自分の嫌いな分野のことを好意的に語られると無視したくなる気持ちはある。他の人もそういうものらしい。だからある1つのものの良さを語りたい時は他のものは一切褒めないのが賢いはずだ。むしろどれだけ売れた作品でも買っていない人のほうが多いことを考えると（たとえば現時点で『ONE PIECE』の最高初版は400万部以上で『鬼滅の刃』の最高初版は280万部、日本の人口は1.2億人以上）、すべての作品を貶した方が利益を得られるかもしれない。でも自分は不利益を被るとしても好きなものはなんでも語りたい。

脳に刻まれたモラルの起源――人はなぜ善を求めるのか (岩波科学ライブラリー)

モラル，いわゆる道徳とか倫理というと，人間に固有の客観的な理性に基づく判断だと考えられ，主観的で情動的な判断と区別される．しかし，最近の脳科学や進化心理学の研究によれば，モラルは，人類が進化的に獲得したものであり，むしろ生得的な認知能力に由来するという．脳自身が望ましいと思う社会は何かを明らかにした本．

共感や倫理は利己的な遺伝子の作用だとかなんとか。