トロッコ問題再
トロッコ問題からわかる面白いポイントの1つが、人間の感覚はちょっとした条件の違いで反対の結論を出すということだ。どちらも5人と1人のどちらを取るかという点では同じなのに。もちろん常に不介入を選ぶ人はいるし、常に介入して5人を助けることを選ぶ人もいる。
(前に書いた部分の再掲)
まずトロッコ問題というのは
5人が線路上で動けない状態にあり、そこにトロッコが向かっていると想像してほしい。あなたはポイントを切り替えてトロッコを側線に引き込み、その5人の命を救う、という方法を選択できる。ただしその場合は、切り替えた側線上で1人がトロッコにひかれてしまう。
という思考実験のこと。
多くの人は遺憾ながらもこの選択肢をとるだろう。死ぬのは5人より1人の方がましだと考えて。
しかし、状況を少し変化させてみよう。あなたは橋の上で見知らぬ人の横に立ち、トロッコが5人の方に向かっていくのを見ている。トロッコを止める方法は、隣の見知らぬ人を橋の上から線路へ突き落とし、トロッコの進路を阻むことしかない。[この問題は「The fat man」と呼ばれるもので、Judith Jarvis Thomsonが提案したトロッコ問題のバリエーション]
この選択肢を示されると大抵の人はこれを拒否する、とBanaji氏は述べた。カリフォルニア州パロアルトで10月26日(米国時間)に行なわれた、全米サイエンス・ライティング振興協議会(CASW)の会議でのことだ。[Time誌の記事によると、「5人を救うためでも線路に落とさない」と回答するのは85%にのぼる]
人間の倫理は非理性的か:「トロッコ問題」が示すパラドックス
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