メモ帳用ブログ

色々な雑記。

ヒトのメスは赤ん坊なら誰でも可愛いと思う傾向があるが、ヒトのオスは自分と顔の似た赤ん坊をより可愛いと思う傾向があるという。
動物として見た場合、人類のオスは自分の子供を育てるメスとの関係を強固にすることで子孫を残す確率を上げたとされる。自分に似た赤ん坊を可愛いと思う傾向があるのならそのためなのだろう。父子が明確でない乱婚制の哺乳類にオスが子育てを手伝う種は存在しない。単雄複雌の群れが基本形態の種が、生息地の減少などにより複雄複雌の群れを形成する場合でも、子育てに積極的なオスほど多くの子の生物学的父親でもある。メスが子育て能力の高いオスを好むためともされる。
きょうだいの子なら自分と遺伝子が1/4共通するが、それでも1/2が共通する自分の子と比べれば半分だ。遺伝子を残す観点からしても、きょうだいの子育てを手伝うことは妻の子育てを手伝うことより効率が悪い。
だが母系社会では子と父親の結びつきよりも子と母親の兄弟の結びつきが重視される。
母系社会の担い手は大半が女性のみで日常の主食を栽培し、女性が土地を相続する民族である。特に労働時間が最小限ですむ(狩猟採集民族以上に短い)南方の根栽農耕民族である場合が多い。男性は漁撈や狩猟、交易、ハレの日に食べる主食の生産などを行うが、やはり狩猟採集民族の男性と比較しても平均的に労働時間が短い。極端な事例ではほとんど労働しない。原始的な農耕社会の特徴とみなされていたが、必ずしもそうとは限らないことが明らかになっている。
妻問婚の母系社会の場合、子育ての男手は主に母親の親族に頼ることになる。自分の遺伝子を残すという点からすると、妻問婚の社会は男性にとって労働の効率が悪い。そのためか、女性の地位は比較的高い社会だが、居住地での労働はほとんど女性が担う。男性は出稼ぎを行うこともある。
妻方居住婚の母系社会の場合は両親で子を育てることになる。だがこうした社会は離婚率が高く、男女ともに生涯平均結婚回数が2回を超える文化も珍しくない。他の事情もあり、社会的父親と生物学的父親は必ずしも一致しない。社会的な子よりも姉妹の子の面倒を見たほうが遺伝子を残すのに効率が良い可能性がある。男性は婚家では肩身の狭い思いをしている。だが実家に対しては種々の采配を振るい、姉妹の子に対してオジとしての権限を誇示する。
妻方居住婚を基本形態とする男系社会は稀だが、夫方居住婚を基本形態とする女系社会はそう稀でもない。女性は婚家で夫とともに子育てをし、離婚しない限りは夫の家で一生を終える。娘は父親の家から余所へ嫁ぎ、息子は妻を娶った後で母親の実家へ移住し、母方のオジたちと同居する。比較的父親と子の結びつきは強い。だが宗教的理由などにより父親と子の生物学的な繋がりが認識されていない文化も存在する。トロブリアンド諸島では、夫の夜の役目は妻の体内に妻の先祖の魂が入るための道を整えることだと考えられている。また、男性には姉妹の子に対して収穫物などの経済的援助を行う義務がある。かつては母系社会から父系社会へ移行する過程の社会と考えられていたが、現在では支持されていない。
× 母系妻問婚→母系妻方居住婚→母系夫方居住婚→父系夫方居住婚
? 双系(非単系)→母系夫方居住婚