メモ帳用ブログ

色々な雑記。

生物は遺伝子を残すために生きているが、人間はやはり遺伝子を残すためだけに生きているのではない。そこをうまく描写できた作品は人間の心を打つ。
進撃の巨人ジークは人間のあり方について思い詰めるうちに、自民族であるエルディア人を根絶したいと思うようになってしまった。生物としては全く正しくないが、人間としては理解できる心情描写がなされている。ジークとクサヴァーの血縁を超えた絆の強さと、それ故に目指してしまった人間としての袋小路の悲しさは心を震わせる。生きることに対するジークとアルミンの対話も印象的だ。
寄生獣で自らの存在意義に対して誰よりも自問を繰り返してきたのは田宮良子だ。寄生生物は知性生物の脳を乗っ取り、知性生物の同種を食い殺し続ける本能を持つ。寄生生物である田宮良子は、繁殖能力もなくとも食いのようなことを繰り返すばかりの自分たちのあり方に疑問を持っていた。広川は田宮良子の問いに対し、寄生生物は地球にとって毒となった人間の中和剤になるために生まれたと自信満々に答えた。広川が後に主人公・新一が反省するようなうぬぼれを体現した存在であることは言うまでもない。田宮良子は一応の同意を返したものの、心から納得できたようではなかった。その後もずっと自らの存在意義を問い続けていた。だが自らが実験のために育てていた人間の子供を我が身の危険を顧みずに助けたことで、人間と寄生生物の関係についてはひとつの答えを得ることができた。