メモ帳用ブログ

色々な雑記。

自然選択という言葉がある。生物は強いものが選択されるのでも多くの子種をばら撒いたものが選択されるのでもない。子種をばら撒けばいいのなら億単位の受精卵をばら撒くマンボウにヒトは負けている。自分の子孫を生き残らせ、その子孫がより多くの子孫を生き残らせられるものが自然に選択されることになる。
ヒトは二足歩行で骨盤が小さい上に脳容量が大きく頭が大きい。ヒトは他の霊長類と比較するとかなり未熟な状態の赤ん坊を産まなくてはならない。また高度な脳を十分に発達させるためには時間がかかる。1歳のヒトは1歳のイヌよりも知能が低い。ヒトの育児に費やすコストは他の霊長類や動物と比較しても段違いに大きい。
そのため動物としての人類は進化の過程でメスとオスの協力を発達させていった。オスの遺伝子からすれば、姉妹の子育てを手伝う(1/2×1/2=1/4)よりも自分の子を生んだメスの子育てを手伝う(1/2)ほうが効率的だ。

ペアをつくる動物でも子育てがすぐ終わる場合はそれに伴いペアを解消することが珍しくない。しかし人類の子育ては長期間を要するのでそれだけオスとメスのペア期間も長くなる。前の子が成熟し切る前に新しい子を産むのがヒトの生態なので、ペア期間は延長され続ける。
また、ヒトは死ぬ間際まで出産できる他の霊長類と違い、寿命のかなり手前でメスが出産できなくなる。これも子育てに莫大なコストがかかるヒト特有の進化だという説がある(おばあさん仮説)。出産をリタイアしたメスは親類の子育て、多くは自分の子の子育てを支援することに注力する。