メモ帳用ブログ

色々な雑記。

ゴールデンカムイはアホネタの破壊力がとんでもないのと同時に本筋の計算高さも際立っていて、お互いがお互いを引き立てあって凄まじい完成度。みんなで盛り上がりやすいネタとシリアスな本筋の進行が同じ回の中に共存しているのは、このネット社会では最高に賢い本筋のネタバレ防止方法だと思う。
ラッコ鍋回で、ウホッ系ネタの裏で主人公の仲間が意識していたアイヌ美女と男女の仲になり…という本筋にも関わる滅茶苦茶重要なパートが来るのはとんでもないバランス感覚だ。
終盤の展開で人気キャラの尾形が面白い人間のクズの宇佐美や切り裂きジャック、ついでに上エ地と鏡写しの欠陥を抱えていることを容赦なくえぐりながら、尾形の魅力や株を落としきらずに決着をつける塩梅も本当にいいもの見たなあという感じ。主人公・杉元には殺人の罪悪感をごまかして心を壊して戦争を生き抜いてきた過去があって、自分の過去をヒロインであり相棒であるアシㇼパに語る名シーンが前半にあるんだけど、それと対になる会話を尾形と宇佐美がしていたりする。では尾形の自分自身の心に対する理解は本当に正確なのかというと……。例の嘘で、食べたいものと言われて尾形がとっさに思い付いたのがあんこう鍋なのは業が深い。修羅に堕ちる前の思い出の味が尾形にとってはそれなのか。
死んだキャラも生き残ったキャラもみんなやりきっていて、どのキャラが好きでも納得できるラストだったと思う。