メモ帳用ブログ

色々な雑記。

うぇぶりのH2の昨日更新分のなんでもねの回と今日の分のじゃ遠慮なくの回。

なんでもねの回は比呂のさりげない気遣いが光る。

1回の5点で微妙にリズムを狂わされた千川のバックは、まず島と佐川が些細なミスを犯してしまう。その時に比呂は野球の経験を積んでいて選手としての心構えもできている佐川にはミスを指摘した上でアドバイスする。続いて佐川だけのミスでないとフォローしようとするけど、ミスを犯した片割れである島がやってきていたので話すのをやめる。島はまだ初心者だし気に病みがちな性格なので、変にミスを意識して萎縮するのを避けたんだろう。

さらにサードの井上もミスを連発するけど、あえて井上の方に打球が飛ぶよう計算した投球を続けて、井上が考え込むヒマを奪って守備のみに集中するよう誘導した。

比呂は口でははっきり言わないけど実はかなり周りを思いやる性格。こういう描写の積み重ねによって、ストーリーのクライマックスの甲子園準決勝戦で英雄を比呂が挑発した際も、腹の中はまだ明かされていないがちゃんと考えがあるはずだと比呂を読者が信頼することができる。

一方で比呂には初恋で英雄と戦えなかった心残りがあるのではないかと、ひかりが意識する場面も重要。実際にこの前々回の夢で示唆される通りに比呂には少なからず心残りがある。大切な幼なじみの比呂を心配するひかりも心残りに引きずられてしまう。

この回の「やっぱり…… 来るんじゃなかったなァ」から続いて、じゃ遠慮なくの回では目の状態がまだ不明な英雄を東京に残しているのに、比呂の試合を観に来ると泣きそうになってしまうことに対してひかりが「悪いよ……」と思っているのを叔父との会話で提示。「だれに?」に対しての答えが主に英雄であるのを、英雄の姿を直接描かずともテレビ越しに比呂を見つめる英雄の存在を示唆するという手法で伝えているのが粋。野球場の比呂とテレビ越しの比呂が二重写しになっているのは、ひかりの目の前の光景とテレビ越しに英雄が見ている光景がオーバーラップするような効果を狙っているんだろう。目の前の比呂に対しても、変に心を揺らすような対象にしてしまっているのをひかりは少なからず申し訳なく思っていそう。

「比呂の試合を観に来ると、勝っても負けても泣きそうになるから。」はひかりと比呂の絆を示す重要なセリフ。通常版コミックスの第17巻のどっちだ?の回でも、比呂が勝った試合でひかりは泣いていた。そして英雄は「よくも泣かしやがったな……」と感じた。

第34巻の最終話1話前の――それだよ英雄の回では、それまで「想像できないなァ、負けたヒデちゃんは……」といっていたひかりが、比呂に敗れた英雄を観て涙を流す。ひかりが泣く相手が英雄になる。