メモ帳用ブログ

色々な雑記。

日常会話では伝説も民話も似たような言葉として使われているけど、学問上では使い分けがある。伝説は土地に根ざした伝承で、具体的な物体や人物、歴史などが固有名詞として出てくる。例えばこの温泉は武田信玄隠し湯だという伝説がある、などのかたちで語られる。民話は昔々あるところに…として語られる話で、抽象的で具体名は出てこない(王様が、お殿様が、とかみたいに)。ただしどちらかに分けがたい伝承も存在する。時代の経過に従って具体性が失われたり(伝説の人物の名前が失われるなど)、逆に抽象的な部分に具体性がはめ込まれたり(民話の主人公の正体が有名な武将や君主だったことに改変して語り継ぐなど。同じ逸話を持つ歴史上の人物はかなり多い)。

伝説の主人公は修行とかの具体的なエピソードを経て身につけた自力によって問題を解決することもあるけど、民話の主人公は具体的な人間性のない人間だからあくまで何かを与えられるかたちで力を手に入れる。伝説の場合は御神体や武術の流派の起源などの、今も伝わる魔法の手段の権威付けとして語られることがある。