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農耕民族

昔からよく日本人は農耕民族でヨーロッパ人は狩猟採集民族って俗説を見かけるけど、本当は両方とも農耕民族だ。詳しくいうなら日本人は農耕+狩猟採集で、ヨーロッパ人は農耕+牧畜。
日本でも食肉目的の牧畜は行われていないことはなかったけど小規模。日本の家畜は基本的に農耕・運搬・軍事などの役用。
周囲が海に囲まれているため漁業が盛んで、近代以前、動物性タンパク質は多くを魚介類から得ていた。また国土が山がちで農地が限られる反面野山で狩猟採集する余地はあった。動物の殺生が禁止された江戸時代でも害鳥獣の駆除を兼ねて狩猟を行うことは一般的だった。
水田は水が有機物を耕地に運んでくれるから、人口増加が限界に達する江戸時代までは肥料の心配をする必要もあまりなかった。経済の行き詰まりによる換金作物への農地転用も手伝い、江戸時代には人糞や干鰯などの金肥の取引が重要になる。日本の人口は江戸時代の前半に急上昇して3000万人に達し、以後150年ほど横ばいを続ける。
明治に入り西洋の農業技術(工場生産された化学肥料など)が導入されると人口は爆発的に増加した。現在の日本の人口は1億2000万人を超える。

ヨーロッパの農耕に関しては自分の知識が薄く、要点を抑えた説明がやりにくい。
ヨーロッパの農耕は牧畜と隣り合わせに成長していった。農耕と牧畜はほぼ同時期に発明されたと考えられている。初期の農耕は肥料などの理由から大河の氾濫原を中心に行われていた。一方で牧畜は生産性の低い荒野でも行うことができた。戦争になった場合は財である農作物や土地を移動できない農耕民よりも、財である家畜を移動できる牧畜民の方が有利になる場合が多かった。現在のヨーロッパ人は先史時代にヨーロッパに侵入した騎馬民族の子孫であるとされている。ただし基本的な生産性や土地利用の効率は農耕の方が牧畜よりも高く、安定した社会では農耕が重視される。
麦などの畑作は稲作に比べて肥料の投入が重要になる。肥料の生産源としても家畜は欠かせなかった。また麦は米に比べて面積あたりの収穫量が低く、必然的に人口の上限も低かった。産業革命まではヨーロッパの人口は全域でもせいぜい1億5000万人程度だった。家畜や大型農機具の利用による耕作の効率化を促すことになった。家畜や大型農機具の発展はやがて産業革命に繋がる。

参考
https://shizuoka.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=4410&file_id=31&file_no=1&nc_session=b9ot02633blv6glp2edu39roi4