メモ帳用ブログ

色々な雑記。

中国の民間の慈善事業

新しい中国の成立後、かつて盛んであった慈善事業は40余年間絶えた。その原因はまず、慈善事業に対しての認識と地位付けの問題である。すなわち、当時のプロパガンダで、慈善事業がブルジョアジーの偽善的行為で、歴史の 「カス」だと断定されたことである。
趙俊男(2012)「中国における慈善事業管理の制度的諸問題と改善の方向」

清朝の後半は捨て子・間引き・行き倒れ死体の放置が社会問題化する。国家としての対応は立ち遅れていた。国に代わって地方の篤志家による慈善事業が盛んに行われることになる。しかし20世紀に入っても国家の混乱は収まらず、酷さを増す一方だった。慈善事業が専ら民間の手で行われていたことが、かえって社会的制度の確立や秩序化を妨げてしまった一面もあるとされる。現代の社会制度下における中国では、社会救済は国家によって行われるべきものであり、民間による慈善事業は地主階級が民心を籠絡するために行う偽善に過ぎないというイデオロギーが喧伝された。しかし「改革」以降は民間による慈善事業か見直され始めている。