メモ帳用ブログ

色々な雑記。

趙炎は屍者になった自分の姉弟子を守るために生きた人間を犠牲にする道を選んだ。まるで世直しのために悪人を殺しているようなことを主張したのは言い訳であり、自己欺瞞による正当化だ。ただし姉弟子のために犠牲にする人間を悪人に限定していたのは一応本当であるらしい。弟子たちの敵(姜明子)に対するいらだちぶりを見ても、弟子の中に理不尽に故郷を焼かれた人間がいるというのは嘘ではなさそうだ。善人が悪の道へ走る時に、少しでもマシな手段を探して苦悩を軽くしようとする、というのは生々しくて印象に残る。手段を正当化するために目的をすり替えているとはいえ、作品や対峙した相手さえ違えば趙炎の言い分がある程度認めてもらえる可能性もなくはなかったと思う。しかし姜明子は宿命に終止符を打つために屍者を討ち果すことを心に決めており、旧知の仲とはいえ屍者や率先して屍者を匿った人間を見逃したりはしなかった。ただその姜明子とはいえこの先の展開で
自分が情で手が鈍ってしまい決着をつけきれなかったかもしれないとうっすら自覚しているところは深みがあっていい。