メモ帳用ブログ

色々な雑記。

西暦525年の三眼が阿柴を殺した理由は村から離れたから以外にはありえない。阿柴も白大も屍疫が屍者の術だと知らなかったし、村が屍者の餌食にされていることに気づいてすらいなかった。村で白大の陰口が囁かれ出したのも、白大の帰りが予想外に遅く(三眼の妨害のためなのか半年かかった)疑心暗鬼が広まってしまったせいだ。
それに対して清末の村人は屍者が殺人をしていることに気付いている。山の外に逃げられて強力な求法者でも呼ばれれば一大事だ。西暦525年には白大と阿柴を村の外に逃してしまったせいで自害に追い込まれた。逃亡者を殺すだけでなく、他の人間が逃げる気を無くすためにも家族全員を殺す、というのはいかにも屍者らしい判断だ。既に生贄交渉をした村の人間かどうかに関わらず、自分の存在を知る逃亡者は許しておくべきでない。
三眼は南北朝時代も清末も自分の思うままに人間を食っていた。人間の要望で復活させられるようなことはなかった。回復中、数百年ごとに目覚めて苗木を見ていた時も、他の何かをしていたような様子はない。清末に家族が殺されるのを恐れた村の年寄りが交渉を持ちかけて来て、それを受け入れたのも、あくまで自分に都合が良かったからだ。
ところで、「活祭」を「生贄」でなく「復活」と誤訳した翻訳チームは、南北朝時代も黒山村が用心棒にするために三眼を呼び出したと勘違いしたのではないかと思う。屍疫は警護に対する正当な報酬で、三眼は村人を殺さないように手加減していたとすら勘違いしていた節がある。
4話で白小小が伝承について語る際、日本語版だと
「それは体の一部が欠けていくという謎の奇病でしたが不思議なことに死者はいませんでした ただ感染力は強く村の半数近くが罹ってしまい村から離れられなくなってしまいました」
と、まるで奇病を広めた者=三眼が実はわざと手加減していたように勘ぐれてしまう文章がある。しかし中文版では
「明明好好的一个人儿染上此病后就出现了身体残缺,有的消失了眼睛,有的消失了手脚,虽然都不致命,但也无法远离村子了。从一名病人到两名,到九十余名,村子半数人口都染上了此疫病。」
(確かに健常だった人なのにこの病気に感染してからは身体に欠損が生じ、ある人は眼球が消失し、ある人は手足が消失しました。いずれも致命傷ではないとはいえ、村から離れるすべを奪われました。1人の病人が2人になり、九十数人になり、村の人口の半数までもがこの疫病に感染しました。)
となっており、文脈が違う。
中文版のストーリー全体を読む限りだと、黒山村で屍疫の死者が出なかったらしいのは、あくまで白大が治療に奔走したためだ。さらに姜明子が三眼を自害に追い込んだ時点で屍疫の進行は止まった。第11話で姜明子が望んだように、後は白大さえ早く帰宅できれば、犠牲者は阿柴1人で済んだはずだった。しかし因果律はそれを許さなかった。