メモ帳用ブログ

色々な雑記。

寄生獣には人間の間引きありきでそれを正当化するために自然を持ち出すキャラクターが何人か登場する。地球環境のために理性ある人間は自らを間引きすべき、人間には元々とも食いの本能が備わってきたのにそれを忘れてしまったせいで人口爆発が起きたから間引きをすべき、などの意見が出る。いずれも自然が全体主義的な振る舞いをすることを前提とするが、自然とはそういうものではない。現実世界の自然が目的論的に全体主義的な振る舞いをしないことは明らかになっているし、寄生獣の世界でもそうであることは寄生生物の価値観や利己的な遺伝子への言及によって示唆されている。全体主義の肯定のために自然を旗印に掲げることはただの詭弁だ。
ただ、自然界全体や人類全体を人間が思いやれるのは人間の心に余裕があるからだ。多くの存在の未来に配慮した行動ができること自体は素晴らしい。だが、そのために間引きのように余裕のない手段を取るのは不適当だ。