メモ帳用ブログ

色々な雑記。

寄生獣ファンの中でも脳を奪った寄生生物が宿主の脳から影響を受けるかどうかは意見が分かれる。自分はないと思う。
まず生物に魂があるとするなら寄生生物には元々独自の魂がある。脳を奪おうとして失敗したミギーやジョーにも独自の人格はあるし、蛇のような幼体の時点で既にある程度の判断能力を持っていたことが描写されている。
また寄生生物が宿主の記憶や人格を引き継いでいるような描写は全くない。脳を奪った寄生生物もニュースを見るなどして言葉を学んでいる。田宮良子は宿主が数学の教員免許を持っていて自身もその身分を引き継げるほど優れた知性を持っていた。だが数学の知識が得られたのは宿主の本などを読める環境にいたからだろうし、知性の高低は寄生生物としての個体差だ。宿主の母親についての記憶も当然なく、出会った時は母親の言動のみから2人の親子関係を推測したようだ。
また寄生生物は外見と機能こそ宿主の奪った部位を模倣するものの内部構造をそのまま再現してはいない。骨格なども再現していないので寄生生物はレントゲンで見分けることができる。寄生生物は全身が考える筋肉でできており、分裂してもそれぞれで思考することができる。伸びても縮こまっても形態から思考が影響
を受けることはない。脳や神経系の構造から生じる人間の思考とは原理が全く異なる。仮に宿主の脳構造を忠実に再現して宿主の大脳生理や人格をエミュレーションできるとしても、意識が2つになるだけで、寄生生物の意識に宿主の意識が混ざることはないだろう。むしろ体の運動機能に極端な個性があるなどのほうがそれを操作する寄生生物の人格(?)形成に影響を及ぼす可能性がある。
第2話には誤ってイヌの脳を奪ってしまった寄生生物も登場している。この寄生生物は生まれて日が浅く、学習の機会も限られていたことから言葉はたどたどしかった。だが身軽なイヌの体を活かした飛翔を考えつくなど、イヌの思考能力による制限を受けていた節は特に見られない。また、寄生獣の考察として人間が浦上の言うようにとも食いの本能を持つために脳を奪った寄生生物にそれが引き継がれるという説があるが、イヌの脳を奪った個体はイヌ同士でとも食いをしている。とも食いの本能は元から寄生生物に備わっているもので、脳を奪うことがトリガーになり発動すると考えるほうが自然だ。だがなぜそもそもとも食いの本能を持つのかという点に関しては、人間から何かしらの影響を受けた可能性が残っている。