メモ帳用ブログ

色々な雑記。

進撃の巨人はロッド・レイスみたいなヒストリアに自分の都合を押し付けまくったクソ親父でも、最後にはあれはあれでかわいそうなヤツだったと思えるところが良い。しかも、実はクソ親父なりにヒストリアのために最善を尽くし続けていたんだなって白々しい方向じゃなくて、並の器しかない人間があんな立場に立たされたら余裕がなくて、ヒストリアに対して都合の良い時だけ父親ぶったり都合のいい時だけ利用しようとしたりしても普通かもなっていう方向だ。現実的な親との折り合いの付け方だ。
進撃の巨人は血統や民族の負の継承を断ち切れるのかという点もテーマのひとつになっている。素晴らしい親も登場するが、自分の子に期待を押し付けてしまう親たちも大勢登場する。その多くが悪人でないからこそそうした状況に追い込まれてしまった人間だ。
一方で、血の繋がりがない人間同士での夢の継承も繰り返し描かれる。まず主人公・エレンの所属する調査兵団がそうだ。調査兵団の兵士は多くが未婚のまま亡くなるが、彼らはそれでも後の世代に夢を託そうと危険な任務に挑む者たちばかりだ。アルミンが外の世界に憧れてエレンも外の世界に憧れるようになったこともそうだ。シャーディス教官もエレンに個人的な希望を託していた。ジークとクサヴァーの間にも悲劇的な絆があった。ウーリ・レイスは先祖の思想に呪縛をされてしまったが、だからこそケニー・アッカーマンと奇妙な友情を結ぶことができた。
それにしてもレイス家の子供唯一の生き残りのヒストリアをあそこまで冷遇した王政やそれを受け入れたロッド・レイスはアホだなと思う。壁内の文化は貴族だろうと妾の子は冷遇される感じで現実世界のキリスト教圏風だけど、それにしてもアホだ。ヒストリアがもし亡くなっていて、新しい子供でも作る前にロッド・レイスも亡くなってしまったらどうするつもりだったんだ?作中で説明はないけど壁内にも血の薄い分家があったりするのか?壁外の分家とは接触できないし。まあヒストリアやエレンに感情移入していると全く気にならない部分だから、余計な説明でゴタゴタしないほうが話運びがスマートだ。感情移入さえできていればちょっとしたご都合はむしろ話を早く進めてくれていい。ヒストリアのお家騒動はなんだかんだそれなりに収まったし。あれで変に悲劇オチになっていたら設定についてグチグチ言ったかもしれないけど、そんなことは全然なかった。