メモ帳用ブログ

色々な雑記。

進撃の巨人のエレンは仲間を守るために仲間と比べ物にならないくらい大量の人間を殺すという決断をした。まともな判断ではないし、まともな人間にできる決断でもない。実際、エレンは自分で自分のことを許されないと語った。それでもそれまで十分に他の方法を模索していたし、何より仲間を助けるためという目的自体は前向きなものだ。許されないことがわかっていてもエレンの決断には共感したくなってしまう。
他方、ロッド・レイスは普通の人間だった。地下でグリシャにレイス家が襲撃された際、妻子に目もくれず真っ先に逃げてしまうくらいにはロッドは普通の人間だった。ロッドがヒストリアに過去を語る際のイメージシーンでそうなっていたし、エレンがグリシャの記憶を覗いたシーンでもそうなっていた。グリシャは真の王に巨人と戦うように頼み込んだが、ロッドは遠くからグリシャを殺すように叫んでいた。見るからに屈強ではないロッドが暗殺者に怯えてしまうのも仕方がない。
ロッドはケニーがアルマとヒストリアを殺害しようとした際も正しい選択ができなかった。妻子が殺されてレイス家の力が奪われたこと、レイス家の力を取り戻した後でレイス家の力を継承し続けるためにはヒストリアが必要なこと、その他諸々の事情を素直に話しておけば、アルマは殺されず家族3人で一緒に暮らせた可能性はあった。しかしあの時のロッドはそれを選択できる精神状態ではなかったのだろう。アルマの処分を受け入れてしまい、ヒストリアとも再び離れ離れになった。後に、レイス家の力、ヒストリア、巨人化薬のすべてが揃っている状態でケニーから剣で切りつけられた際のロッドは毅然とした態度を取ることができた。
作中の描写を見る限りだとレイス家の分家は壁内には存在しないようだ(壁外には存在する)。もし分家に正当な跡継ぎがいればヒストリアでなくそちらが継承者に選ばれていた可能性が高いが、そういう話題は一切出てこなかった。レイス家は13年に一度実質的な生贄を捧げることを100年以上繰り返してきた。レイス家の人間は多くがそのために亡くなっただろう。だから分家の類が存在しなくてもおかしくはない。レイス家の人間が定期的に消えることもあの文明の程度ならどうにでもごまかせる。正攻法でごまかせなくなっても記憶を操作できる。