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第69話を見る限りでは真の王の中心に行われる礼拝のような儀式が存在するらしい。真の王とは初代王の力と記憶を受け継いだ者だ。
貴族や中央憲兵、ウォール教の聖職者は真の王の座がウーリからフリーダに移ったことは知っていた。そういう意味でいえば、ロッドがあくまで便宜上真の王に就いていた期間はあるかもしれないが、本当の意味で真の王となっていた期間は存在しない。少なくともケニーからすればロッドが始祖の巨人を継承していないことは一目瞭然だ。
ケニーはロッドをいたぶりながらヒストリアに対して「もっと言やあフリーダとガキ共が殺され『巨人の力』が奪われたことさえ隠そうとした!! 『巨人の力』を奪われたレイス家が求心力を失うことを恐れたからだ!! こいつがあらましを白状し出したのはエレンが巨人の力を使ってトロスト区防衛戦に勝利した辺りからだ!!」と言った。これは貴重な証言だがケニーの主観による解釈も含まれている。
まず一文目は真実だろう。レイス家襲撃事件は表向きには強盗の仕業として処理された。しかしレイス家が始祖の巨人を継ぐ家だと知っている者がこの言い訳で納得できるはずがない。フリーダが殺害されただけなら百歩譲って不意打ちで通るとしても、レイス家の力を知る者が礼拝堂の様子に気付いたら巨人の格闘戦が起きたことを悟ってしまう。当初、ロッドは始祖の巨人を奪われたことを黙っていただけでなく、妻子が殺されたこと自体も黙っていたはずだ。
三文目も事実だろう。ロッドはエレンがかつてレイス家を襲撃した男から巨人を継承したと気付いてようやく詳細を語り始めたようだ。当然始祖の巨人も受け継いでいるとも気付いたはずだ。それにしてもこの5年間、ロッド・レイスが王政関係者に何をどう語っていたのかは謎だ。
一方、ニ文目でケニーが推測したロッドの動機はおそらく的外れではないがそれがすべてでもない。ロッドがヒストリアたちと暮らそうとしたのは、真の王を押し付けるためというよりも、他の家族を失いかつて熱を上げていたアルマたちと暮らしたくなったためだろう。とりあえず2人を屋敷に保護した後で、王政議会に他の子供たちが殺されたことを報告するつもりだったのかもしれない。だが事前にそれをケニーに教えていればケニーはアルマやヒストリアを殺そうとはしなかったはずだ。ケニーは自らが始祖の巨人を継承することを望んでいた。そのために始祖の巨人が継承されるよう取り計らい、その儀式を覗き見て乱入する必要があった。子供が皆殺しになればおしまいだ。他の貴族からしてもいざとなれば妾の子でもいいから王を継がせようとするはずだし、実際にそうなった。アルマとヒストリアが殺されかけた際にロッドが他の子供たちの死について語れなかったのは、ケニーの言うとおりにとっさに保身を考えてしまったせいかもしれない。
かつてロッドはヒストリアと接触せず、フリーダもヒストリアと接触していたことを隠していた。ヒストリアに注目が集まって王政議会を刺激し、暗殺者などが差向けられることを避けたためだろう。他の子供が生きている状況なら、妾の子であるヒストリアが13年しか生きられないが壁内人類を文字通り支配者できる真の王に選ばれる可能性は低かった。だからそちらを恐れたのではない。真の王であったフリーダならヒストリアの冷遇を止められたかもしれないが、初代王の思想を継ぐ者として事を荒立てたくはなかったはずだ。母や他の兄弟のためにも表立って妾の子を庇うことは得策ではなかった。隠れてとはいえ、父の隠し子であるヒストリアに優しくしていた時点でフリーダは十分な人格者だ。