メモ帳用ブログ

色々な雑記。

進撃の巨人のレイス家について少し整理。
ニック司祭の発言、教会で盗み聞きしたというユミルの証言、ケニーの発言、この3つの内容を合わせて考えると、ヒストリアが10歳の時に暗殺されかかったのは、ロッドがヒストリアを家に迎えようとしたのを王政議会が阻止しようとしたせいであるらしい。ユミルの又聞きした内容を重視するなら、ロッドは子供の唯一の生き残りであるヒストリアを跡継ぎにしようとして議会と揉めたことになる。ケニーの発言を重視するなら、他の子供が殺されたことをロッドが周囲に隠しまま愛人や隠し子に接触しようとしたため、議会はヒストリアしか跡継ぎがいないことを知らず、愛人と隠し子の暗殺司令を出してしまったことになる。ケニーの証言のほうが信憑性が高いはずだ。この場合、ロッドは2人に生命の危機が迫っているにも拘わらず、ヒストリアしか生き残りがいないことを黙っている。
レイス家の力を受け継ぐことには大変な責務が伴う。だがその力は盗み出されていた。幸か不幸かレイス家は力からも責務からも解放されている状態だった。もしロッドがヒストリアまで責務を背負わされることを恐れていたのだとしても、差し当たって心配はいらなかった。むしろ壁内は責務を誰かが背負っても誰も背負わなくても危機に瀕していた。危機を伝えたグリシャは詳細を言わなかったので、明日訪れる破滅なのか百年後に訪れる破滅なのかをロッドは判断できなかっただろう。とはいえロッドはひたすらグリシャを排除しようとしただけで、詳しく事情を聞こうともしなかった。レイス家の力の所有者がエレンになっていると発覚した後、ようやく力を盗んだ犯人については周りに白状したようだが、グリシャから伝えられた危機については話していない。もしロッドがヒストリアを助けたかったなら、グリシャの伝えた危機やレイス家の力の問題点を正直に周囲に話せばよかった。保身第一の貴族や議会は間違ってもヒストリアを殺せなくなるし、力の継承についても慎重にならざるを得なくなる。少なくとも王政編のすべてをロッドが計画していたとありえない妄想をするよりは現実的だ。
レイス家の血を考えると、ヒストリアが冷遇され続けたこともロッドが再婚さえしていないらしいことも無理がある気はする。でも変に現実的にされても話がややこしくなるだけなのでこれは置いておく。
というか、連載中でレイス家の真の役割が明かされていない時点では、王政議会の決定で愛人を殺されて隠し子を殺されかけたロッドに同情できる余地は大きかった。だが真の立場からすれば、ロッドが本気でやめるよう命令すれば王政議会や中央憲兵は拒絶できなかったはずだ。少なくともウーリがケニーを侍従にしたことよりは簡単だったろう。また、ケニーにはレイス家の継承の儀式が行われてほしい理由があった。他の子供が殺されたことを知っていればヒストリアを殺そうとしなかったはずだ。
ヒストリアの母であるアルマとヒストリアの暗殺が実行されたのは、ロッドが2人を迎えに行った日だ。その数日前にシガンシナ区の壁が破られ、さらにロッドの正妻とその子供が皆殺しにされていた。ヒストリアの暮らしていた牧場は最も内側のウォール・シーナにあったので、ロッドは2人を巨人から避難させようとしたのではない。ウォール・シーナで大きな混乱があった様子はないので、議会が壁の破壊による混乱に乗じてヒストリアを始末しようとし、ロッドが先回りして保護しようとしたのでもない。
おそらく時系列は以下のようになるはずだ。
①シガンシナ区の壁が破壊される。
②礼拝堂で祈りを捧げていたロッドの妻と5人の子供が殺害される。礼拝堂も全壊する。
③ロッドは妻子が殺されてレイス家の力が奪われたことを隠そうとする。
④ロッドがアルマと接触。ヒストリアのいる牧場へ向かう。
⑤王政議会が護衛(監視)対象であるロッドの不審な動きを察知。隠し子と接触しようとしていると判断し隠し子と母親の暗殺命令を出す。
⑥ロッドがヒストリアと接触。「これから私と暮らすぞ」と言う。
⑦議会の命令を受けた中央憲兵のケニーが到着。アルマとヒストリアを殺害する許可をロッドから取る。ケニーはアルマを殺し、ヒストリアも殺そうとするがロッドに止められる。
⑧ヒストリアを遠い土地で偽名で生活させるようにロッドが提案する。
⑨ロッドの妻と5人の子供が殺害されたことが発覚。レイスの力が奪われたことも同時に発覚したのか、ロッドが受け継いだなどとごまかしたのかは不明。
⑩壁が壊されてから5年後、エレンが巨人の力を覚醒させる。王政は身元を調べるうちにエレンがレイス家の力を取り戻す鍵であることに気がつく。王政はエレンとヒストリアを拉致しようとする。

ロッドがヒストリアを家に迎えようとしたのは、自分の身代わりにレイス家の力を継承させるためだとケニーは推測した。その狙いもなくはなかっただろうが、第一目的というわけではなかったはずだ。レイス家の力はこの時点で既に妻子の殺害犯に奪われている。妻子を殺害されて動揺したロッドは後先を考えずにアルマやヒストリアと暮らそうとしたのだろう。家に迎え入れようとしたのかもしれないし、駆け落ちしようとしたのかもしれない。回想からして、ロッドがアルマに熱を上げていたのは間違いない。
だがヒストリアの回想によるとアルマは牧場から毎晩夜の仕事のために着飾って街へ出ていたらしい。牧場の暮らしも裕福ではなかった。アルマがロッドの隠し子を産んだことは周知の事実だったが、レイス家から経済的援助を受けられた様子はない。アルマの精神衰弱ぶりからしてロッドとの面会も許されていなかったはずで、アルマが街で暮らすようになってからもそれは変わらなかったようだ。妻子を殺されたロッドがアルマやヒストリアと暮らそうとした気持ちは理解できる。だが独断で強行したせいで、議会は2人の暗殺を決定してしまった。