メモ帳用ブログ

色々な雑記。

進撃の巨人で最終回のミカサの「アルミンも… 記憶が戻ったんでしょ? エレンが… 私達に会いに来てた時の」というセリフをそのままの意味で受け取れない人間がいるのは義務教育の敗北だ。
普通に考えればミカサもアルミンと同様、以前に道を通じてエレンが会いに来ていて、その記憶はエレンによって消去されていたが、たった今思い出したという意味になる。エレンが同期の中であえてミカサだけには会いに行かない選択をする可能性はなくはない。だが作中のミカサのセリフやシチュエーションとは矛盾する。自分にはエレンは会いに来ていないが他の同期の様子を見てエレンがそうしたことをミカサが察し、アルミンにこう語りかけたと考えるのは無理がある。まずアルミンに話しかける前に他の同期の様子を見て察したと考えること自体がシーンの繋がりからしてほぼ不可能だ。回想コマの挿入などで強引に辻褄を合わせてもいない。もしエレンがミカサに会いに来ていないのならセリフも「アルミンも… 記憶が戻ったの? エレンが… みんなに会いに来てた時の」であるほうが自然だ。確信した上で確認するニュアンスの「でしょ?」でなく純粋に問いかける「の?」になるだろうし、自分の含まれる「私達」でなく含まない場合もある「みんな」になるだろう。
以下は前に書いたこととほぼ同じ。
ミカサは最終回前話でとある光景を幻視した。その幻はミカサが自分の気持ちを誤魔化さず、素直にエレンに伝えた世界だった。幻の中でエレンは「オレのことは忘れて 自由になってくれ…」と言い、作中現実のミカサが「ごめん できない」と答えた。ミカサは現実でエレンを殺害する直前、「道」の世界でエレンと思いを確かめ合った記憶を自力で取り戻したようだ。
ミカサはアッカーマン一族と東洋の一族のハーフだとされている。アッカーマン一族も東洋の一族も始祖の力による記憶操作を受けない。もしミカサが純血同士によるハーフだったらエレンは記憶操作できなかっただろう。だがパラディ島の東洋の一族とはヒィズル国の将軍の子孫だ。巨人大戦敗戦後の混乱の中で、将軍家の忘れ形見がパラディ島に取り残されたのだという。ヒィズル国のキヨミは別の場面で「かつてのエルディア帝国全盛期におきましては世界の国々でユミルの血を取り込むことが高貴である証とされていました それが帝国の衰退と共にエルディアに追従した各国上流層が国を追われる立場となり果てたのです」と証言している。ミカサの先祖である将軍の忘れ形見がそうだったとは明言されていない。だが不作為の現実ではなく作為あるフィクションで出された情報なので、ミカサの母親がエルディア人の血を引いていたことを示唆していると邪推する余地はある。パラディ島の将軍家は歴史画に描かれていた臣下たちと子孫を残したのだろうし、そちらに混血が混じっていたことも考えられる。また、ミカサの父親がアッカーマン一族とエルディア人の混血だった可能性もある。ミカサの父親はアッカーマン一族らしさを完全に捨てており、親の親の代からそれが試みられていなかったと断定する材料はない。いずれにせよミカサはわずかにエルディア人の血を持っていたのだろう。それがエレンによる記憶操作を受けたが自力で打ち破れる程度だった理由のはずだ。
また、アッカーマンの血を引くミカサもリヴァイもユミルの民だけが繋がっている「道」に入ることができる。アッカーマン一族は巨人科学の副産物であり、ユミルの民が人間のまま巨人の力の一部を引き出せるようになった存在だという。そこから、アッカーマン一族は巨人化することがなく(ケニーはアッカーマン一族も巨人化できると思いこんでいたが、終盤の展開からするとリヴァイはアッカーマンの血を引く者は脊髄液を経口摂取するなどしても巨人化しないと気がついたようだ)、始祖の力による記憶操作も受けないが、「道」に繋がる力だけは残されたという仮説を立てることができる。しかし別の仮説を立てることもできる。リヴァイはエルディア人のハーフであり、ミカサはエルディア人の血も引いていた可能性が高い。ミカサとリヴァイが「道」に入ることができたのは実はエルディア人の血に由来していたのかもしれない。