メモ帳用ブログ

色々な雑記。


今回の映画は前二作に比べると恋愛控えめなのかも。
天気の子は最後主人公が選択するのがヒロインか東京かなのが良くない、せめてヒロインか故郷でないと重みがないって意見があるけど、家出してきた故郷との選択なんて「くそう、仕方ない故郷を犠牲にするしか!(やったぜ!)」だよ。天気の子は主人公が甘ったれてて思い上がってて情けないところがいいんだよ(暴論)。最後にちゃんと自分の力のちっぽけさを自覚してその上で前向きになるからね。
主人公は故郷でなにか上手く行かないことがあったらしく東京に家出してきた。そこで晴れ女というチート持ちのヒロインと出会って、仲良くなって、チートを利用して身を立てる方法を考えた。ヒロインからは共同経営者うまくやれていたつもりだったし、周りから感謝されてやりがいも感じていた。主人公は故郷を捨てて東京で成功して一端の男になったつもりだったのだ。
だけど主人公が以前拾った拳銃というチートでやらかした(そのおかげでヒロインと仲良くなれもした)際の代償を支払わなければならない時がやってきた。追い込まれた時に「だからこれ以上、僕たちに何も足さず、僕たちから何も引かないでください」と感じたように、それまで東京は主人公にとってはモラトリアムの場としては申し分のない環境だった。
だが晴れ女というチートを乱用した代償をヒロインだけが払わされてしまう。そもそもヒロインがチートでやっと人並みの生活を送れていたのは、主人公の青臭い家出と違って、不幸な背景があった。だから主人公はヒロインにチートを使わせて得た自分の偽りの成功体験をすべて捨ててでも、ヒロインのことを救わなければいけないと考えた。それが今まで自分たちが笑顔にしてきた東京の人の不幸にすることだとしても。
ヒロインを救うために主人公は拳銃という自分が拾ったチートにもう一度手を出す。倫理的にも犯罪的にも罪はますます重くなった。そしてそれが人々の幸せを願ったヒロインの意志を曲げさせることになると知りつつも、主人公はヒロインを天から地に戻した。
最後、きちんと高校を卒業して東京の大学に進学し、家出でない正規の手続きを経て、主人公は東京で再び暮らし始める。今度こそチートでない自分の力で東京で生きていくつもりということだろう。進学先は東京農工大学なので、気候変動を含めた環境問題を学ぶつもりのようだ。自分なりに東京のやまない雨と向き合う方法を考えたのかもしれない。そして主人公はヒロインと再会する。ヒロインはチートを失ってしまったが、変わらずに東京の人々のために祈る心を持っていた。その等身大の祈りの姿を見て、主人公は「僕たちは大丈夫だ」と感じることができた。元々不公平で理不尽で狂っていた世界はますます狂っていっているように思えるが、少女の自己犠牲がなくても、チートがなくても、人々の幸せを考える等身大の祈りの力を信じて生きていくことに前向きになれたようだ。