メモ帳用ブログ

色々な雑記。

月島は父親を殺したことに罪悪感(guilt)はあるだろうけど、後悔(regret)はないし、改悛(remorse)も根本的にはできていなさそうだ。父親がいご草ちゃんを殺していないとわかった今でもそう。そしてそんな自分に自己嫌悪を抱いている。羊の群れに紛れ込んだ野犬としての自己嫌悪だ。理由があるからといって自ら進んで殺人を犯せる人間は羊ではない。
月島は実は、生まれ育った環境も含め、シャバで一般人として生きていくのに向く天分を持っていない。それでもいご草ちゃんと駆け落ちできていたら努力で克服していただろう。そんな人並みの望みは儚い夢となってしまったが。
同じ羊の群れに紛れ込んだ犬でも、「同胞のために身命を賭して戦う」という軍人の本懐を教えられ、異分子である牧羊犬としての役割を最初から与えられて育った鯉登との根本的な違いは自己嫌悪の方向性にある。月島は野犬である自分に嫌悪を感じ、鯉登は使役犬として失格の自分に嫌悪を感じていた。両者ともそこを鶴見に付け込まれた。登場したての鯉登はどう見ても危ない猟犬だったが、鯉登なりの改悛の情により牧羊犬としての本分に立ち戻った。