メモ帳用ブログ

色々な雑記。

絶望を跳ね除けるために必要なのは失敗を知らない若さではない。何度失敗を重ねようともたった一回でも成功を掴めた経験だ。
月島は自分の親からは愛されず、故郷のほとんどの人間からも白眼視されていた。だが愛し合う幼馴染がいた。そのために島から出た後は新しく知り合った戦友たちと安定した人間関係を築くことができた。
反面、自分で自分の人生を切り開くという点では月島は挫折続きだった。恋人と駆け落ちを約束したが、出征中に自分が戦死したというデマを流され、佐渡ヶ島に帰郷した時には恋人は消えていた。恋人が自殺したと思いデマの出処である実父を経緯を確認することもなく殴殺し、死刑囚に。そして獄中にて、恋人が生きて他人の妻になっていることと、実父にデマを流させたのが恋人の両親であったことを知る。もう自分は恋人に何もしてあげられないと失意に沈んでいたところ、死刑囚の身から解放されたいなら死ぬ気でロシア語を勉強しろと鶴見に発破をかけられ、監獄を出た。もしかしたら月島は、もう復縁はできないにしろ、かつての恋人のために自分に何かができる時が来ることを期待していたのかもしれない。しかし恋人に対する思い出を自分の手で捨てざるを得ない状況に追い込まれる。恋人が実は島で死んでいると佐渡出身の兵士に吹き込まれ、鶴見が自分にデマを吹き込んだと考え、経緯を確認することもなく殴ってしまった。だが戦友だから助けたかったと聞かされて心が震え、偶然降り注いだ砲弾から命がけで鶴見を庇った。鶴見から恋人は本当に生きていることと、実は恋人の殺害偽装を含む鶴見の裏工作により月島が監獄を出られたこと、月島がロシア語を身につけたために死刑を免れたわけではなかったことを教えられる。真実を聞いて、月島は自分自身に深く失望した。そして鶴見からお前が必要だと言われ、自分の命は鶴見に救われたものだから鶴見のために使うつもりだと伝えた。恋人の思い出の品は捨てた。月島の覚悟を聞いて鶴見は喜び、不敵に笑った。実は佐渡出身の兵士も鶴見の仕込みだった。それに気付いた時、月島はさらなる苦痛を味わうことになる。