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色々な雑記。

血縁

ところでMIXの立花投馬はみゆきでいう若松真人にあたるポジションだけど、義理の妹を内心女として見つつあることを自覚する勇気はまだないのかな。人の良さだけが取り柄なタイプのラブコメ主人公の若松真人だって、早いうちから義妹を女としてみていること自体は自覚してた。

義妹のみゆきに血縁者がいない事実を暴露してしまうのが可哀想で若松真人は血の繋がった兄妹の振りをしていたけど、ひとつ屋根の下に2人きりでいる男女である以上つい理性が負けそうになることがあるっていう緊張感がみゆきのストーリーの骨子。竜一の「4年前に再会したときから、二人はりっぱな恋人同士さ……」と言う言葉通りに2人が向き合いさえすれば終わる話で、真人にとっては逃避先としていいように使ってしまい作者も最初から選ばれない方に内定させていた鹿島みゆきはかなり損な役回りだった(この部分はH2での弟的な幼なじみの比呂と現在のボーイフレンドの英雄の間で揺れて英雄を取ったひかりの逆なんだけど、こっちでは20巻辺りまで作者がどちらにするか決めずに連載してたのに「最初からないのよ、選ぶ権利なんか……」という最終話のセリフでそういう話として文脈を定義し直している)。

MIXでは音美に実の母も兄もいて他の悩みもなさそうなので、血の繋がない家族を異性という他人として見るのを怖がっているのは投馬自身ということになる。その裏付けになる感情が第11巻の回想での母を亡くしてしばらく間の孤独感なのかな。野球のパートナーである走一郎のことは心から兄弟だと思っている分、走一郎の実妹で自分の義妹である音美に異性を感じることに気持ちの整理がつかないのかもしれない。走一郎や母親の真弓は投馬の気持ちに気付いていて応援している節があるし、音美も無意識にしろ投馬に気があるようだし、2人の障害は勇気以外には無いも同然だけど、それだけにクライマックスまではこの部分は回り道しかできない感じかも。

最近の展開からすると、まず家族のかたちと向き合うことになるのは走一郎の方になりそう。エースとしての才能は義弟の方がわずかでも決定的に上で、捕手としては自分のほうが明らかにうまくやれるとわかっていても割り切れない思いがあるのを自覚し始めたところ。実妹と義弟が惹かれ合っていて将来は一緒になるだろうことも、そうなったら今みたいに義弟と二段ベットの上下ごときを争点にして喧嘩できるような、みんな一緒の暮らしが続けられなくなることもわかっているはず。 立花英介は優しい父親だけど、澤井走一郎だった時のことを覚えている走一郎が将来は自分から家を出て他所に所帯を持つ道を選びそう。その時に一緒になる相手が誰になるのかはまだわからないけど、いまのところ大山春夏がそうなってくれるなら自分は嬉しいな。

親のことでいえば、実母のことをほとんど覚えていない投馬、実父のことを少ししか覚えていない音美とは違って、走一郎はかなりはっきりと亡くなった実父の思い出を持っている。なので英介に対しても明確に継子としての距離感で接している。英介や大山監督にとっても、走一郎は英介の継子としてよりも伝説のエース澤井圭一の忘れ形見としての面が強くて、走一郎がエースになる気がないことを過剰に惜しんでいる。走一郎と投馬の関係は、兄と弟の面からは達也と和也で、英介たちの世代から見れば伝説のエースの息子と控え投手の息子だから、立ち位置的には投馬が不利なようだけどそれでもエースとしての実力があるのはやっぱり投馬の方。不利なところから駆け上がるのが主人公の資質ならば、投馬には「明青のエース」は自分以外にはいないと改めてバシッと決めて欲しい。今の練習試合かもしくは別の機会に、大山監督が「あきらめろ 立花… モノが違うぞ。」(第26話参照)とつい失言して、投馬が「誰が?」で返したりするような展開がもしあれば胸熱かも。


それにしても走一郎からすると、義父が実父の背番号と義父自身のユニフォームを合体させたものをこっそり保管してて、隠れてそれに熱い視線を注いでるところを目撃してしまうっていうのは謎のシチュエーションすぎませんかね。悪い夢を見そう。