メモ帳用ブログ

色々な雑記。

H2の野田を見ればわかるとおり、ものわかりが良かったり何も言わずともわかってくれる女房は好感度が高い。ただしそれだけだとドラマや葛藤に乏しくなる。

だから多くの作品でそういう登場人物はサブキャラだったり、メインヒロインの場合は話の主軸が外部との衝突・交流に置かれていたりする。H2の野田はレギュラーキャラだけどサブ的な位置。それに野田は自分が比呂に付き合えるのはこの夏までだと自覚していて、直接描かれてはいないけど将来の別れがほのめかされてる。将来をともにすることが示唆されている春華とは対照的だ。

逆に、最近流行りの主人公とヒロインの1対1の関係が主軸のラブコメでは、一筋縄ではいかない性格のヒロインとの一進一退の距離感がキモ。可愛くて主人公に好意があるのは読者目線からは明らかでも、からかい上手だったり、うざい後輩だったり、Sっ気が強くておちょくってきたりする。

暇つぶし特化型のウェブ小説の場合、絵で可愛さアピールもできないし、とりあえずものわかりの良さでヒロインの魅力を表現するのが手軽で効果的なんだろう。暇つぶし特化型だからヒロインとの関係にしろ敵との戦いにしろ、求められるのは本格的な衝突・葛藤や失敗の挽回よりもお手軽なサクセス。でも同じこと繰り返していても飽きられるので、戦いの規模なりヒロインの人数なりのわかりやすい刺激がどんどんインフレしていく。増え続ける大量のものわかりの良いヒロイン。ただ、お手軽な娯楽ってそういうものだと思う。お下劣さに開き直ってる面も含めて、ウェブ小説はオタク・マニア層よりも、大衆受けに近い印象。マニア受けしないタイプの少年誌っぽいし、漫画ゴラクとかグラジャン方面の中高年向け雑誌っぽくもある。意外に中高年向け暇つぶし雑誌の市場も広い。でも暇つぶしに特化しすぎると所有欲を産まないせいかそう高くない書籍やコミックさえ売れなかったりする。商品価値を高めるためには暇つぶしの楽しさを保ちつつ表立って話題にできる無難さを手に入れるか、逆に一点突破のマニアックな要素を入れるか、エロか。無難な方面にいくならハーレムの生臭さは邪魔だけど、主人公のモテモテ感は維持したい。恋愛は盛り上がる要素だけど、相手の好意にけじめをつけないままだと無責任だしグダグダ感も出やすい。ウェブ小説のコミカライズで近年の一番のヒットらしい『転生したらスライムだった』は、主人公が元男でも現在は中性のスライムということで、この問題をクリアしていると思う。たくさんの美女や男から持ち上げられても、スライムだし人間形態は中性だから生臭くならない。転スラのインスパイア元だというオーバーロードでも、主人公はガイコツ系のアンデッドモンスター。人間離れして純粋な主人公とか朴念仁系主人公とかをさらに推し進めたかたちかも。

いわゆる女房役という言葉がロマンをもって語られるのは、本来男女の関係で使う女房という言葉をあえて生臭い見返りのない関係で使うことで、ある種の純粋というか綺麗事的な関係であることを強調できるからなんだろう。あるいは綺麗事の裏の欺瞞まで含めて了解し合った関係であることを。