メモ帳用ブログ

色々な雑記。

エンタメの媒体

エンタメの基本はスムーズな感情の上げ下げ。それとクライマックスに1番大きな感情の波のピークを来させること。
映像の場合だと、設計図がコンテ(continuity・連続)と呼ばれているように連続した時間と空間を扱うメディアなので、感情の上げ下げも厳密な展開の連続に則ってコントロールする必要がある。要は時間や空間として表現できる変化が起きている必要がある。激しい爆撃戦の末に敵を倒す場合もあるし、夜中に思い悩んでいた人がその悩みの解消とともに夜明けを迎える場合もある。小さな花の開花がドラマチックな映像になる場合もある。なるべく広い客層に向けた典型的なハリウッド映画エンタメなら、派手なバトルの末に善が悪を倒し、ヒーローとヒロインの恋が実ってキスをする。
小説だと映像ほどは現実的な変化を考えなくてもいいけど、エンタメなら上げ下げとクライマックスはやはり必要だ。ただ感情の波は理念的なものでも構わないから、ラストの主人公の心情を表す一文が素晴らしく美しい、とかでも小説なら十分に成立できる。激しい爆撃戦も、ヒロインの瞳の涙膜が虹色に輝くことも、文字の上では同じだけの価値が出せる。文字は誰でも書くだけは書けるので、キャッチーさや磨いたセンスの違いがエンタメとしての価値の違いになる。
漫画は映像と小説の中間。強いて言えば映像よりかも。でも連載だと少しずつ細切れに発表する関係上、全体の構成よりもシーンごとの盛り上がりのほうが重要になる傾向が強い。だからキャッチーさや磨いたセンスへの依存度はかなり高い。
基本的に複雑な事象や難しいテーマを扱うほどにエンタメとしてまとめる難易度は上がるけど、センス次第ではどうにかなる場合もある。ただ媒体によって必要とされるセンスの種類は違うので、優れた小説家が映画監督や映画脚本に挑んだ例は多くても、小説と同じだけの成功を収められた場合は少ない。逆に優れた脚本家が書いた小説でも評判は必ずしも良くない。