メモ帳用ブログ

色々な雑記。

日月同错の世界の運命や天は、人によって不公平な扱いを受けた白家に対し、不公平を是正する機会を与えたわけじゃない。白大の家族が村人によって無残に殺されることを運命や天が決め、柄になくすべてを救いたいと思ってしまった姜明子を因果律によって妨害した。そして運命により選ばれた三真同月令の伝承者を都合よく事件に介入させ、最終的には白家を完全に滅ぼした。
村人がデマを信じて白家を迫害したのは運命のせいだし、白小小が村人を虐殺してしまったのも運命のせいだし、村の子どもたちが白小小を刺したのも運命のせいだし、そうなるように姜明子や高皓光が事件に介入してしまったのも運命のせいということになる。そういう設定だ。
でも何かに操られているだけの人間は可哀想かもしれないけど格好良くはない。自己憐憫や自己陶酔に共感はできたとしても憧れるのは無理だ。三真同月令の伝承者のみが運命に抗えるというのはヒロイックな設定だけど、脇役が本当にただのハリボテになる。テーマを見せるためとはいえ、黒山村のエピソードでは登場人物全員が傀儡のままで、主人公を活躍するさせるためにハリボテにした舞台で主人公が全く活躍しなかった。それでも三川のエピソードは伝承者たちがまともに活躍するからバランスが取れている。
ところでだまされる方が悪いという決まり文句があるけど、「だます方が悪いに決まっている」(HUNTER×HUNTER)。でも善悪とは別にだます方がだまされる方より格好良く見えるというのはフィクションだとよくある。自分で選択して自分で責任を負うキャラはやることが悪事だとしても格好良く見えるもんだ。自分のやったことに言い訳や責任転嫁をしないなら尚更だ。フィクションの悪は誰よりも悪くて、自他ともにそれを認めているから格好良い。
ジョジョ四部の吉良吉影と美那子の彼氏を比べても、リアルにムカつくのは美那子の彼氏の方で格好良いのは吉良吉影の方だ。でもどう考えたって悪いのは吉良吉影の方に決まっている。先にムカつかせた方が悪くて何をしてもいいという言い訳は法治国家の日本じゃ通用しないし、吉良吉影本人もそんな言い訳は使わなかった。