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色々な雑記。

明代の小説である『封神演義』は、日本だとWJ版の『封神演義』くらいしか有名な派生作品がない。でも本場中国ではたくさんの派生作品が作られている。
2019年に中国で公開された3Dアニメ映画の『哪吒之魔童降世』は興行収入が中国歴代第2位の大ヒットとなった。シリーズ化も進行中だ。「自分の運命は自分で決める」ことや、「逆天改命(天に逆らい運命を変える)」ことがクローズアップされたそうだ。


シリーズ作品として2020年10月1日に公開された『姜子牙』もヒットした。この映画の主人公は日本では太公望として有名な姜子牙だ。姜子牙が殷周革命(商周革命)を軍師として導いた後に起きた、とある騒動を描いている。このレビューによると「一人を救うのかそれとも大衆を救うのか?もしかしたらどう選んでも間違いかもしれない」ということが重要な問題となるそうだ。

(「救一人还是救苍生?或许怎么选都是错的」=一人を救うのかそれとも大衆を救うのか?もしかしたらどう選んでも間違いかもしれない)


なぜそんな問いかけが行われる内容になっているのかはレビューを読めばわかる。ただし完全なネタバレになる。前作『哪吒之魔童降世』でも、主人公・哪吒が敵となる龍と仲良くなり、人間と龍との間で板挟みになるというアレンジが加えられたそうだ。
第年秒先生の『日月同错』は仙侠的な要素が強い。また第年秒先生はWJ版の『封神演義』のファンだし、天命から解放されるという要素は現代中国人にウケがいいんだろう。『日月同错』からもそんな要素を強く感じる。重要人物の姜明子の名も姜子牙から取っているのかもしれない。また、第9話で姜明子が独白した「内心的冲突,令你逃避了这如何都是错的选择。(内心の葛藤のために、このどれも不正解の選択からお前は逃げた。)」というセリフは3Dアニメ映画『姜子牙』のテーマと通じるところがあるようだ。
『姜子牙』の公開日は2020年10月1日(旧正月の2月が公開予定だったがコロナの影響で延期)で、2019年12月に公開された予告にも「不救一人,何以救苍生(一人を救えずしてどうやって大衆を救うのか)」という言葉が出ている。『日月同错』第9話後半の公開日は2019年11月20日だ。この2作でテーマやモチーフが似通っているのは偶然ということになる。つまり、偶然似通うほど最近の中国では仙人や『封神演義』、「逆天改命(天に逆らい運命を変える)」、「不救一人,何以救苍生(一人を救えずしてどうやって大衆を救うのか)」ということに関心が集まっているらしい。