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権威について最近触れたので意味を整理。
とりあえず日本語の権威の意味はこうだ。

デジタル大辞泉「権威」の解説
けん‐い〔‐ヰ〕【権威】
１ 他の者を服従させる威力。「行政の権威が失墜する」「親の権威を示す」
２ ある分野において優れたものとして信頼されていること。その分野で、知識や技術が抜きんでて優れていると一般に認められていること。また、その人。オーソリティー。「権威ある賞を受賞する」「心臓外科の権威」

ある分野に対する造形の深さで権威と言った場合は専ら２の意味になる。２はそれ自体に強権を振るうニュアンスはない。だが結果的に１のニュアンスを含む場合も多い。
権威主義の権威は１の意味だ。政治的な用語としての権威主義と、日本で一般的に使う権威主義はニュアンスが若干違う。それでもネガティブな意味合いで使う点は共通している。
政治的な用語としての権威主義はAuthoritarianismの訳語だ。Authoritarianismは独裁主義とも訳すこともできる（独裁主義は普通Dictatorshipの訳語）。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「権威主義」の解説
権威主義
けんいしゅぎ
authoritarianism
政治の場では，支配関係を価値の優越者 (上級者) と下級者との縦の関係において構成していこうとする秩序原理および行動様式をいう。フロイト左派の社会心理学者の一人であった T.アドルノは，権威主義をファシズム的兆候ととらえ，そこには力に対する追従・服従とサディズム的懲罰や弱い者いじめとの奇妙な複合がある，としている。

一般的に使う権威主義は下の説明のイメージが近い。

百科事典マイペディア「権威主義」の解説
権威主義【けんいしゅぎ】
社会現象をそれ自体客観的に把握(はあく)するのではなくて，一定の権力・威光に従って意味づけようとする思考・行動様式。多くの場合，強者の権威に追従しやすい。この態度によって統一されたパーソナリティ構造を権威主義的パーソナリティと呼ぶ。

１の権威は人間が組織立って行動する際に程度にどうしても必要となるものだ。一人一人異なる意見を持つ人間を団結させるためには価値判断を統一する基準が欠かせない。だが団結が客観性を失えば権威主義に堕すことになる。