メモ帳用ブログ

色々な雑記。

薀蓄漫画は取り上げた対象に興味を持つきっかけとしては最適だけど、教科書代わりにするもんじゃない。


浦沢直樹先生の方向性は、工藤かずや先生原作の『パイナップルARMY』を描いている時に固まったんだそうだ。初期の話で、ベトナム戦争の帰還兵が殺人鬼になっている原作を渡されて、まるでホラーもののモンスターのような扱われ方だったので、浦沢先生は帰還兵が殺人鬼になってしまった戦争での過去を描きたいと主張。これ以降人間ドラマを大切にしていくほうに舵を切る。


――影を背負ったスーパーヒーロー、というキャラクターが引っかかっていたのでしょうか?

「うーん、それと、ちょっとした世界情勢みたいなものを背景に入れると、漫画も骨太に見えるという感じが。『漫画ナントカ入門』だとか、ああいうものがどうもねえ……。漫画をそういうふうに利用した挙句に世間には『漫画もここまできた』とか言われてる感じが。貶めているというか。」

――そういう風潮自体がいやだったんですね。漫画がバカにされている感じがしたと。

「ねえ。『ここまできた』じゃない、むしろ退化じゃないかと思っていましたね」

浦沢直樹・スタジオナッツ、『浦沢直樹 描いて描いて描きまくる』、2016年1月、51頁)
(引用者注:「」の発言者は浦沢直樹先生。――の発言者はインタビュアー)