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急進派と反動派は左右が逆だけど、現状を否定するという点では共通しているのでしばしば似たような振る舞いをする。また急進派もイデオロギーの裏付けとして大昔の理想を復活させようとすることはよくある。ヨーロッパのルネサンスでは古典時代(古代ギリシア古代ローマ)の文化の復興が目指された。日本の明治維新では王政復古が旗印とされた。

アメリカの政治学者ローウェルは、現状に対する肯定と否定、将来に対する楽観と悲観の二つを軸として、四つの政治的性向を区別したが、これによれば、反動ないし反動派とは、現状に不満をもち、将来についても悲観的で改革の可能性を信じない政治的性向ないし政治勢力であり、現状の評価という点で保守と区別され、将来の予測という点で急進と区別され、自由派とはこの両軸において反対の立場にたつ。つまり、ローウェルは、反動をむしろリベラルの反対概念としてとらえているのである。

ネットでざっと調べただけだとこの文章の元になる論文とかはよくわからなかったけど、日本大百科全書(ニッポニカ)に記載されているから、まあ正確な内容であるはずだ。とりあえず「アメリカの政治学者ローウェル」がアボット・ローレンス・ローウェル(1856-1943)であることはわかった。


ローウェルの時代、政治的性向は、現状に対して否定的で将来に対しては改革の可能性を信じない反動、現状に対して否定的で将来に対しては改革の可能性を信じる急進、現状に対して肯定的で将来に対しては改革の可能性を信じない保守、現状に対して肯定的で将来に対しては改革の可能性を信じるリベラル、という4つに分類できたようだ。ただ、右派リバタリアン新保守主義共産主義保守主義の勢力が大きくなったりした現代には当てはまりきらない部分もある。
日本では反動と保守は一緒くたにされがちだけど、現状に対する認識は正反対だ。支持者の性質の違いも大きいとされている。また保守派は漸進的な進歩や本質的でない部分の変化は受け入れる場合が多い。ハイエク共産主義全体主義を否定する保守的なリベラリストだが反動的なリベラリストではない。
とりあえずこの政治的性向の分類からすると宮崎駿監督は急進派と考えていいはずだ。共産主義への失望を隠さなくなった近年でも、「人間はいつでも愚行をおかす危険があるってことをわかりながら、それでもなにもやらないよりは、やったほうがいいと思います」*1と語っている。現代文明に代わる新たな理想に自分が参加することへ諦念した節はあるものの、理想を求めること自体は強く肯定している。

*1: